【声明2009.07.09】自民・公明・民主党による、「水俣病幕引き法」の、衆議院に次ぐ参議院での強行採決に断固抗議する
2009年7月9日
全日本民主医療機関連合会
会長 鈴木 篤
一、2009年7月8日参議院本会議で「水俣病被害者切り捨て法」「チッソ分社化による加害 企業救済法」ともいうべき、水俣病特別措置法が自民党・公明党・民主党の賛成多数で可決成立させられた。傍聴されていた水俣病不知火患者会の大石利生会長 は『悔しい、残念というより、国会議員の良識を疑う』『すべての被害者救済に向け最後まで闘っていく思いを新たにした。これで水俣病問題が解決するとは思 えない』と。同じく水俣病被害者互助会の佐藤英樹会長は『結局、与党に屈した』と与野党協議で与党側と合意した民主党への失望を口にし『われわれは司法の 場で徹底して闘っていく』と決意を語られた事が報道されている。全日本民医連は、こうした被害患者さんの”怒り”と”決意”を共有し、「政治決着」をごり 押しした自民党・公明党・民主党に対して、満身の怒りを込めて抗議する。
一、これからは、ノ-モア・ミナマタ国倍訴訟をはじめとした司法の場でのたたかいがいよいよ重要である。1995年の一度目の「政治決着」の際にも、救済 内容のばらつきや救済範囲の限定などが問題となり2004年の最高裁判決で事実上95年の「政治決着」は覆され幅広い救済基準が打ち出された。04年の最 高裁判決を踏まえない今回の「政治決着」の暴挙に対して、司法の場で改めて行政と加害企業に対する責任を明確にし、すべての水俣病患者の救済をかちとる事 が求められている。とりわけ、今回の二度目の「政治決着」は、訴訟提訴者を救済対象者からはずすという民主主義を踏みにじる悪法であり、司法救済をかちと ることはそうした意味でも重たいものとなる。全日本民医連は、水俣病被害者全員救済を目指すたたかいに固く連帯して取り組みを強化するものである。
一、『戦後最大の公害事件を決着させる仕事は終わっていない。政府はまず、汚染地帯全体の被害調査をし、そして認定基準を見直すことをいま一度、検討すべ きではないか。』(「朝日新聞」2009.7.9社説)と、マスコミも指摘している。加害企業のチッソが工場排水を止めた1969年以降、国は”新たな患 者発生はない”と強弁しているが、69年以降も200人以上に水俣病の症状が認められたことが、長年水俣病患者の診察に当たられている熊本民医連の高岡滋 医師らによって明らかにされている。水俣病は終わっていない。全日本民医連は、9月からの水俣病一斉大健診に全国で取り組み、健康被害の実態を明らかに し、患者に寄り添いながら裁判闘争が勝利するまで支援を続けるものである。
以上
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