【抗議声明2009.05.14】2009年度補正予算案の衆議院通過に、抗議する ~社会保障費年間2200億円削減政策を、ただちに撤回しろ~
2009年5月14日
全日本民主医療機関連合会
会長 鈴木 篤
昨夜、自民公明与党は経済危機対策などを内容とした13兆9千億円にのぼる2009年度補 正予算案を衆議院で強行可決させた。「追加景気対策をもりこんだ」という予算案の規模は、過去最高規模である。しかもその7割が公債でまかなわれた。巨額 の国民の財産(=税金)をまともな審議もせず、しかも入り口は「大企業へのばらまき」、その「出口は消費税の大増税」というとんでもない計画がうきぼりに なった。
首相みずから対策の目玉とこだわった「エコカー減税」「住宅取得の贈与税減免」も、「車・ 家が買える層」への援助にほかならない。また、東京外郭環状線の高速道路建設(1㍍=1億円ともいわれるゼネコン奉仕型の公共事業)も含まれている。雇用 対策として「40~50万人程度の雇用創出が期待される」というが、40万人以上の大企業による横暴な「派遣切り」「非正規社員切り」をやめさせ、雇用を 維持させればすむことである。「暮らしを守る」というのなら、ただちに後期高齢者医療制度を撤回し、医療・介護崩壊の要因となっている診療報酬・介護報酬 を大幅に引き上げることが先決である。生活保護の母子・老齢加算廃止も、ただちにやめるべきである。自殺者が11年連続3万人をこえるなど、「派遣切り」 や社会保障改悪がいのちの尊厳を奪っているといわざるを得ない。
「きょう、あすの生活に困窮する人びとが急増している現状で、どれほどの効果が期待できるのか」という多くの国民の声はもっともである。一方で子育て・ 福祉対策は1年あるいは3年限りであり、「めくらまし」としかいいようがない。大企業への身勝手を放任したまま、むしろ「元凶」を支援するような愚作はや めるべきである。
これらの大企業へのばらまきのツケはいったい、どうするのか。
「財政責任を果たす」という麻生首相は、2011年度からの消費税増税実施を明言してはばからない。
大企業へのばらまきのつけを、庶民への大増税でまかなおうとしていることは許しがたい。
暮らしやいのちに直結する、社会保障費の自然増年間2200億円削減はいっこうに撤回せず、実施すると断言している。その削減総額は2002年度以来1兆6200億円にものぼる。
医師・看護師・介護士の慢性的不足はせとぎわの状態であり、まともな医療や介護も、新型インフルエンザ対策も成り立たないのは、こうした削減路線の帰結 である。これまで削減し続けた1兆6200億円は、今回の補正予算の10分の1にすぎない。
わたしたちは、国民のいのちや生きる権利を侵害する2009年度補正予算案の衆議院通過に断固抗議し、税金の使い方を社会保障充実のためにこそ使うよう抜本的にあらためるように、強く要求する。