【抗議声明2009.04.01】消費税導入20年、後期高齢者医療制度導入1年にあたって
2009年4月1日
全日本民主医療機関連合会
会長 鈴木 篤
消費税が導入され20年、後期高齢者医療制度が実施され1年がたった。
消費税導入の際政府は、「これから日本は『少子高齢化』社会を迎えるので、その財源として消費税を導入する、そして安心して暮らせる日本をつくる」と いっていた。「社会保障のため」との口実で導入・引き上げがされたが、社会保障は連続改悪、貧困と格差はひどくなるばかりである。
「高齢社会のために」と消費税を導入しながら、昨年には後期高齢者医療制度を強行、75歳以上の方々を強制的に「後期」に囲い込み、保険料を年金天引き するという暴挙にでた。制度実施後も「早く死ねというのか」という当事者の怒り、廃止をもとめる声は全国に広がり、マスコミでも大きく報道された。
この10年間で税金・保険料の値上げや医療機関窓口負担金の引き上げなど社会保障負担を 次々増やし、年間13兆円もの負担増をおしつけてきた。後期高齢者医療制度では、保険料軽減施策がまもなく終了し、保険料負担が倍額になるひともいる。さ らに2年ごとに改定され、保険料は死ぬまで上がり続けるしくみになっている。1年以上の保険料滞納者には「資格証明書の交付」が原則とされ、あらたに高齢 者からの「保険証とりあげ」が危惧されている。老人保険制度のもとではなかったことである。保険証のとりあげは、誰に対してもあってはならないことだが、 とりわけ罹患率の高い高齢者にとっては、いのちの危機に直結することであり、断じて行うべきではない。世論の怒りに押されて、政府は制度の名称変更など相 次ぐ「見直し」を実行したが、後期高齢者医療制度のもつ根本的な害悪の解決にはけしてならない。われわれは、すみやかな制度廃止を要求する。
また20年間国民が支払った消費税総額は213兆円にのぼるが、大企業の法人税などは 182兆円もの減収になった。消費税が医療や福祉のためではなく、大企業減税の穴埋めに使われたことは明白である。さらに、今年の税制改正法案では 2011年からの消費税増税への道筋をつけている。世界同時不況のなか、270万人ものひとびとが職を失うといわれている。このような不況時にさらに景気 を冷え込ませる消費税増税は、絶対おこなうべきではない。イギリス、EU諸国なみに、非課税品目を増やす、税率を下げるなどの施策を実施すべきである。5 兆円規模の軍事費やアメリカ軍へのおもいやり予算を見直し、255兆円もの内部留保を溜め込む大企業・大資産家に相応の税金を負担させれば、財源は充分ま かなえるはずである。
消費税導入20年、後期高齢者医療制度導入1年にあたり、後期高齢者医療制度のすみやかな廃止と
税金の使い方を国民本位に大きく転換させることをつよくのぞむものである。