【抗議声明2008.11.05】田母神元航空自衛隊幕僚長の侵略戦争美化発言に抗議し麻生首相の任命責任を厳しく糾弾する
2008年11月5日
全日本民主医療機関連合会
会 長 鈴木 篤
田母神氏が航空幕僚長在任中「日本は侵略国家であったのか」なる論文を発表した。氏は論文 の中で「我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣」、「(自衛隊は)集団的自衛権も行使できない、武器の使用もきわめて制約が多い、また攻撃的兵 器の保有も禁止されている。諸外国の軍と比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きできないようになっている」などとアジア侵略と植民地支配を謝罪した政府見解を 否定し、憲法を攻撃する持論を展開した。明らかな公務員の憲法擁護義務違反であり、政府が田母神氏の航空幕僚長更迭を決めたのは当然である。
重大なのは、田母神元航空幕僚長はその在任中に名古屋高裁の「イラク派兵違憲判決」に対し 「そんなの関係ねえ」発言や、幕僚長就任以前も数々の問題発言を繰り返していたにもかかわらず、航空自衛隊のトップに昇進し、居座りつづけたことである。 氏の素性を知りながら、重要ポストに据え続けた政府と麻生首相、浜田防衛大臣の責任は重大であり、国民の平和への願いに対する挑戦である。
私たちは田母神氏の国会での参考人招致を含む徹底審議を求め、責任を厳しくただす必要があると考える。
氏の発言は決して突発的に起こったものではない。麻生首相が所信表明演説で、解釈改憲による集団的自衛権行使を言及したことをはじめ、政府と防衛省内に、少なからず氏の発言に「同調」、「賞賛」する動きがあるなど、根深い問題があることを指摘せざるを得ない。
戦後の日本は「誤った侵略戦争を二度と繰り返さない」との反省から恒久平和を誓い憲法9条 を守り抜いてきた。各種世論調査でも、海外派兵と改憲に反対する世論は確実に高まっている。また10月31日には大江健三郎氏の『沖縄ノ-ト』訴訟で、大 阪高裁は「集団自決」への軍関与を認め、歴史の歪曲を退ける判決を下した。
国政では「新テロ特措法延長法案」が重大な争点となっている。7年にわたる対テロ戦争がま やかしにすぎなかったことが明らかである。いまこそ日本は憲法9条の理念に沿った、平和的な支援を展開すべき時である。私たちは法案の廃止に向けたたかい に全力をあげる決意を表明する。