【抗議声明2008.07.29】厚労大臣と財務大臣の社会保障費の年2200億円削減合意に断固抗議し撤回を要求する
2008年7月29日
全日本民主医療機関連合会
会 長 鈴木 篤
7月24日、舛添厚労大臣と額賀財務大臣との間で2009年度予算の概算要求基準(シーリング)について、「社会保障費の自然増を2200億円削減する」ことで合意した。
小泉内閣以来の社会保障予算の抑制路線は、国民の命と暮らしを支えるべき社会保障政策が国民の命を削り、暮らしを破壊する本末転倒の事態を引き起こしており、今回の合意に断固抗議する。
この間の社会保障抑制路線は、お年寄りや母子家庭、生活に困窮した中小業者や若者など、社会保障の支えをもっとも必要とする国民が深刻な被害を受けてい る。政府統計でも国民が「悪化している」と思っている項目に医療や社会保障が上位にきていることからも示されている。
医療の分野では、お年寄りが、後期高齢者医療制度で無理やり差別的な医療制度に追いやられ、負担増を強いられている。また、政府の医師数削減政策により 深刻な医師不足が全国各地で生じ、併せて政府の公立病院切り捨て政策が追い打ちをかけ、地域の拠点病院が閉鎖に追い込まれ地域医療の崩壊の危機に瀕してい る。介護の分野でも、軽度の介護者に対して介護サービスの抑制政策を強要、また、介護報酬のあいつぐ切り捨て政策で介護労働現場では各地の介護事業所が 「崩壊」の事態が進行している。
最後の命綱の生活保護では、申請さえ認めない「水際作戦」や道理のない「保護打ち切り」が横行し、また、高齢者や母子家庭の加算を削減するなど生存権を脅かしている。
こうした社会保障費の抑制に対して、日本医師会、日本歯科医師会、日本看護協会など医療・介護団体は「社会保障費の年2200億円削減撤廃」を求め、各地で国民的運動を展開している。
同時に、「新たな財源を消費税増税で」という声が出ているが、最も社会的弱者に負担を強いる消費税増税・福祉目的税化には断固反対である。財源は、大企 業優遇の税制を転換し、無駄な大型公共事業、世界第5位になっている軍事費などの削減で可能である。
私たち全日本民医連は、政府がこの間すすめてきた社会保障抑制路線の大本を転換すること、また、厚労大臣と財務大臣の「社会保障費自然増2200億円削 減」合意を撤回することを強く求め、撤回にむけて医療・介護関係団体はじめ多くの国民と連帯し奮闘する決意である。