【談話2008.06.24】原爆症認定集団訴訟長崎地裁判決について
2008年6月24日
全日本民医連被ばく問題委員会
委員長 聞間元
6月23日、長崎地裁は、原爆症認定申請の棄却取り消しを求めた27名の第一次原告に対し、20名の原告には棄却の取り消しを、7名の原告には訴えの棄却 を言い渡した。長崎民医連医師団の尽力で、原告全ての勝訴を願って意見書を提出していただけに、敗訴となった原告がいたことは誠に残念である。
しかし、この判決には明らかに勝訴というべき内容も含んでいる。それは、新認定基準が積極的認定から外した慢性C型肝炎などの肝疾患の起因性を全て認め たこと、狭心症や外傷が影響した変形性関節症などを認めたこと、入市・遠距離被爆者への残留放射線の影響を原則的に認めたこと、さらには原因確率による審 査を明確に批判し、「疾病の発症等が放射線以外の原因に基づくことが明らかな場合でも、その発症や促進に影響を与えていることが合理的に推認できる場合に は放射線起因性を肯定すべき」としていること、などの点である。
しかし、一部の原告の起因性について、こうした判断と明らかに矛盾するような判決を含んでいることは理解しがたい。例えば、成人型T細胞白血病の発症を 何故ウイルス性肝炎と同様の判断としなかったのか、胎児被曝を含む遠距離・入市被曝を何故急性症状の有無を問題にして認めなかったのか、急性症状が認めら れる遠距離・入市被曝の癌、あるいは発症原因が明確でない心筋症、甲状腺機能亢進症等の発症促進への放射線の影響を何故合理的推認ができなかったのか、な ど、納得できない内容を含んでいる。
私たちは、今後とも、敗訴した原告の救済を求めて、引き続き全面的な協力を惜しまない所存である。国は、九度示された判決を重く受け止め、即時全員救済を行うよう要請する。
- 記事関連ワード
- 症状