【声明2007.05.19】来るべき参議院選挙で、平和・人権・いのちを大切にする政治への大転換めざして、立ち上がろう
2007年5月19日
全日本民医連第37期第16回理事会
民医連で働く職員および共同組織の仲間のみなさん
7月5日公示、7月22日投票で第21回参議院選挙が行われます。これ以上の悪政をさらに継続するのか、悪政にストップをかけ、大きな政策転換をはかる のかが問われる重大な国政選挙です。全日本民医連理事会は、平和・人権・いのちが大切にされる政治への大転換をめざして、全国各地の民医連事業所および 320万共同組織の仲間のみなさんが立ち上がることを呼びかけます。
全国の仲間のみなさん
第2回評議員会が明らかにしたように、今、この国では、かつてない平和・憲法の危機と貧困と格差の急速な広がりによって、国民の平和的生存権(平和に人間らしく生きる権利)が大きく奪われようとしています。
私たち民医連が昨年秋に行った高齢者生活実態調査には2万人を超える高齢者の協力を頂きました。要請した方は7万人を超え、なかには都合がつかず、断念 せざるを得なかった場合もありますが、少なくない高齢者の方からは「こんな厳しく苦しい生活を見せたくない、見られたくない」ということもあり、実際に高 齢者のおかれた生活状況は2万人調査結果以上に厳しいものであると考えられます。それでも、調査結果は私たちの想像以上にきびしいもので、この調査にはマ スコミも大いに注目しました。
調査では、高齢者本人の月収10万円未満の方が4割に達し、女性だけで見れば5割が10万円未満でした。独居あるいは老々世帯の年収100万円 台~200万未満の生活は生活保護基準にあたります。つまり高齢者の4~5割以上が生活保護基準かそれ以下の生活を強いられている現状があります。調査で は、収入が低いほど健康状態が悪く、「外出」が少なくなるという傾向が顕著でした。また、ここ数年、暮らし向きが苦しくなった方が4割を超え、被服費や食 費を切りつめて生活しているつましい生活ぶりが浮かび上がって来ています。この間引き上げられた医療費や介護費用への負担感が大変大きく、2人に1人が医 療費、介護費用で負担できるのは月5千円までという方でした。
この調査結果からは、高齢者のギリギリの生活ぶりと「これ以上の負担はもう限界!」ということがはっきりしています。
全国の仲間のみなさん
こうした状況にもかかわらず、この6月には、1月に全廃となった定率減税分の住民税増税通知(総額1兆7千億円の課税)が各世帯に通知され、その関係 で、少なくない世帯に対し非課税限度額が上がり国民健康保険料、介護保険料の値上げ通知も届く予定です。全国で、“いかり”が渦巻き、役所への問い合わせ や抗議が殺到することが予測されます。
しかも、これらは序章にすぎません。来年4月からは、75歳以上の後期高齢者医療制度創設を予定され、新たに200万人以上が保険料を徴収され、全体で 1300万人の高齢者が平均年間75,000円の保険料を払わなければなりません。しかも月1万5千円以上の年金受給者の方々からは介護保険料とともに高 齢者医療制度の保険料も年金からの天引きが計画されています。診療報酬の人頭割り制度が予定されています。これではとても、生活はできません。年齢で差を つけるという世界にも例を見ない残酷な制度で、まさに「長生きするな!」と言っているようなものです。
さらに療養病床が38万床から15万床へと削減される計画も着々と準備されています。「医療難民」、「介護難民」の大量発生が予測されています。
医師不足、看護師不足による医療供給体制の縮小も急速に始まっています。
あまりにも医療や社会保障にお金を使わず、切りすててきた低医療費政策の結果です。
全国の仲間のみなさん
全国には今、2500万人を超える65歳以上の高齢者がいます。高齢者へのこうした冷たい仕打ちは、若者の将来でもあります。非正規雇用のために「健康 保険がない」、「国民年金が払えない」といった若者の姿は、貧困な政治が生み出した産物です。
「国保料金が払えなくて手遅れで死亡」、「生活保護が打ち切られ孤独死や介護殺人」など悲惨な事例は後を絶ちません。
政治が作り出した、国民の困難の解決は、政治を転換することなしには出来ません。
全国の仲間のみなさん
今度の参議院選挙は小泉・安倍自公政権の悪政を転換させるチャンスです。今こそ、声を上げ、憲法9条、25条が生きる政治を草の根からつくりあげましょ う。大いにあるべき医療や福祉の姿を語り合い、主権者としての一票を全ての職員、共同組織の仲間が行使しましょう。
全日本民医連はビデオ(DVD)やビラ(300万枚)を用意しました。診察室、病室、班会など選挙期間中も活用できます。事業所や職場、職員や共同組織 の仲間の家などに張り出すことが出来るポスターも作成しました。
事業所、職場、共同組織の支部、班会でビラやビデオなどを使って、大いに学習しましょう。そして学習を力に、大いに語り合い、仲間に広めましょう。
「いつでも元気」5月号の巻頭言で、あの9.11事件に遭遇された堤未果さんは、「最大の 敵は、マスコミでも政治家でもない」。「無関心こそが最大の敵」と指摘し、「私たちがあきらめない限り、この手に一票がある。まだ憲法9条は光り輝いてい る」と呼びかけています。全く同感です。
あきらめない医療、看護~この言葉こそ「いのちの平等」めざす私たち民医連が一貫して追求してきたものです。あきらめない限り、世の中も、政治も、患者 さんや利用者さんも、仲間だって変わるし、変えられる~このことに確信を持って、奮闘しようではありませんか。