【声明2005.10.01】改悪介護保険法の10月実施に対して
改悪介護保険法の10月実施に対して
2005年10月1日
全日本民主医療機関連合会
会長 肥田 泰
10月1日から、施設等での居住費・食費の自己負担化、介護報酬の大幅減額が実施されます。
利用者、国民に対して十分な説明責任を果たさないまま、一方的に利用者、事業者双方にはかりしれない痛みを押しつける改悪法の強行に対して改めて強く抗 議するとともに、直ちに中止することを求めます。
9月以降、居住費、食費の負担額が具体的に明らかになる中で、利用者の中で驚きや不安、怒りがひろがっています。「月3万円も負担が増え9月いっぱいで 老健施設を退所せざるをえない。要介護5の母親を在宅で介護できるのか見通しがたたない」「今まで週3回だったデイサービスの利用を週1回に減らさなけれ ばならない」「10月以降もショートステイの利用を予定していたが、負担額を聞いてあきらめざるをえない」「特養に入所している夫の負担が増えたため、自 分が利用している訪問介護を減らさなければやっていけない」など、深刻な実態が報告されています。
国は、一連の低所得者対策で対応可能と説明しています。しかし、例えば「補足給付」は通所サービスの食費は対象外とされていますし、「社会福祉法人減免 制度」では、利用料等の減額率が引き下げられているほか、そもそも社会福祉法人立以外の施設やサービスの利用者は対象とはなりません。相当数の利用者が国 の施策だけでは救済されないことが予想されます。また、生活保護制度では個室の居住費・食費を扶助の対象外とする通知もすでに出されています。引き続き、 国の低所得者対策など諸制度の改善・拡充を求めていきます。
一方、自治体では、東京の千代田区、荒川区のように居住費・食費の自己負担分に対する独自施策を講じるところが出始めています。こうした経験も普及しな がら、減免制度の創設・拡充、利用者の実態把握や個々の困難者に対する個別対応などを自治体に求めていく必要があります。地域社保協とも連携しながら、自 治体に向けた働きかけも大いに強めていきます。
民医連では、10月実施に対する全国的な実態調査(利用者、事業者影響調査)を計画しています。経済的事情で入所や利用を断念する利用者を生み出さない ために、利用者ひとりひとりの具体的な影響や困難を明らかにして政策をとりまとめ、国と自治体に対して低所得者対策の拡充・改善を求める運動をいっそう強 めていく決意です。