【声明2005.06.17】障害者に大幅負担増を押しつけ、障害者の自立を阻害する障害者自立支援法案は廃案に
障害者に大幅負担増を押しつけ、障害者の自立を阻害する障害者自立支援法案は廃案に
2005年6月17日
全日本民主医療機関連合会
会 長 肥田 泰
延長された国会で「障害者自立支援法案」の審議が再開されますが、その内容は、障害者に「応益負担」(定 率負担)の導入や施設利用者に対し食費・居住費等の全額自己負担を強いるものです。これでは、障害が重い人ほど負担が重くなり、負担できない障害者は、 サービス利用を断念することになり、「自立支援」どころでなく自立を「阻害」し、障害者の生きる権利を奪うことになります。この悪法に対して、障害者8団 体による6600人が参加した集会をはじめ、各地方でも同様の行動が繰り広げられるなど、障害者自立支援法案への障害者の怒りが強まっています。
現在の支援費制度では、利用者の負担は所得に応じた金額になっており、ホームヘルプ利用の場合、利用者の95%に負担がありません。ところが1割負担に なると、家事援助や身体介護などのホームヘルプサービスでは月8400円もの負担増になります。さらに通所施設では、月1万5000円もの負担増になりま す。さらに障害者の医療でも1割負担や食費・居住費の大幅な負担増となります。
障害者団体が実施した全国調査では、家族と本人の収入状況は、年収400万円未満が半数以上を占めています。政府の2005年版「障害者白書」でも、在 宅の身体障害者(18歳以上)の就労月収は三分の一が11万円未満、知的障害者(同)の場合は半数以上が3万円以下と経済的に非常にきびしい状況となって います。まさに障害者の人たちは払いたくても払えない状況で、低所得者対策を講じても負担は困難であると言わざるを得ません。さらに、障害者は配偶者や子 供のいない人も多く、よりきびしい状況といえます。
このように極めて経済的にきびしい障害者に福祉サービス利用や医療費での大幅な負担増の押しつけは、生活を圧迫するだけでなく、必要なサービス利用を断 念し、治療を中断する事態が生まれることになりかねません。「応益負担」の導入は、障害者の生きる権利を奪うとともに、社会保障全体の大幅な後退であり、 まさに憲法25条が保障している「生存権」を否定するものであり、断じて許されません。
私たちは、こうした重大な問題点を持つ「障害者自立支援法案」は、きっぱり廃案することを求めるとともに、障害者の人たちとの共同の行動を広げ、障害 者・家族の願いにそった福祉制度をめざして奮闘するものです。
以上