【談話2004.08.19】関西電力美浜原発事故の教訓を生かし、危険なプルサーマル計画は即時停止を
2004.8.19
全日本民医連被ばく問題委員会委員長 聞間 元
8月9日、関西電力美浜原発3号機での配管破断事故のため、4名の作業員が犠牲となった。
1999年9月の東海村での臨界事故とは異なり、放射線の被ばくこそなかったが、いずれも原子力産業における安全文化の欠如、安全管理の軽視が引き起こした事故であるという点では共通している。
関西電力自身のの発表によると、運転開始以来28年間、一度も破断した配管の検査が行われていなかったと いう。こうした電力事業者の安全軽視の実態にはあきれるばかりであるが、それを長い間見抜けなかった監督官庁の責任もまた重大である。果たしてこのような 体質を持っている企業に、またこうした不備を見抜けない原子力保安院に、多くの危険を内在する原子力発電をまかせておいて本当に大丈夫なのか心配である。
今回のような事故が発生する背景には、安全を犠牲にして企業利益を優先する日本型システムがあると同時に、現段階の原子力発電の安全管理に弱点があり、まだまだ未解決、未解明の技術的問題があるということをあらためて浮き彫りにした。
東海地震や東南海地震の発生時の原発の安全度についても、全く検証されていない事柄である。机上では原子 炉を格納する容器や建屋が震度6に耐えられる設計であったとしても、数多い配管網のつなぎや溶接部分、屈曲部など、構造上最も弱いところが破壊される可能 性は常に存在している。もちろん配管の破断事故は緊急炉心停止に直結し、最悪の場合は炉心の溶解、メルトダウン現象の可能性もあるわけで、今回の配管破断 事故を重大視しなければならない理由がそこにある。
そうした状況にあるにもかかわらず、電力業界はプルサーマル計画をあきらめていない。六ヶ所村では使用済 み核燃料の再処理施設の建設が終盤を迎えており、使用済み核燃料からプルトニウムの抽出を前提にした核燃サイクルを回転させるという計画は放棄されていな い。もし再処理施設内での事故によりプルトニウム等の強力な核分裂物質が施設外に漏れだした場合、実際問題として打つ手はなく逃げるほかはない。
あってはならない被ばく事故から国民を守るために、電力需要予想からみても不必要なプルサーマル計画を直ちに中止し、老朽化しつつある原発の早期の廃炉を強く求めたい。
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