５月１５日、与党・自公保３党と民主党などの賛成で、有事法案の採決が衆議院本会議で強行され、法案は参議院に送られることになった。私たちは、いのちと健康を破壊する戦争政策に反対する医療人として、有事法案の衆院での採決強行に断固抗議する。

有事法案は、昨年の通常国会と臨時国会で多くの問題点が指摘され成立が阻止されてきた。今国会の委員会審議 の中でも、国民を戦争に動員する危険な内容があらためて明らかにされてきた。また、全国各地域で「戦争協力法反対」「憲法違反の法案反対」の広範な国民の 怒りの声と運動の高まりの中で、審議を打ち切り衆議院本会議での採決が強行されたことは断じて許すことができないものである。

　国会審議の中で有事法案が、自衛隊の海外での武力の行使に公然と道を開くものであり、アメリカの先制攻撃の戦争に日本を参加させる危険性をもち、こうした戦争に懲罰を持って国民を強制的に動員する法案であることが、政府答弁などでも一層明らかになっていた。

こうした法案に対し、「アメリカの戦争に我国を巻き込むもの」「憲法違反の法案」と主張していた民主党が自 公保与党との修正協議に応じ、何ら本質を変えることのない修正案に賛成した責任は重大である。しかも、修正案の委員会審議を行わないで衆議院特別委員会・ 本会議での採決を強行したことは、民主主義を否定するものである。

私たち全日本民医連は、いのちと健康を守る医療機関として、国民を戦争に動員し、日本を戦争する国に導く危険な有事法案の成立に強く反対してきた。

　今回の有事法案の衆議院での採決強行・通過は、平和憲法を踏みにじり、アジアや世界の平和を願う世界の人々への挑戦でもある。

　法案は衆議院を通過したが、参議院での成立阻止・廃案をめざして運動を一層広げ、平和を願う全国の広範な国民と力を合わせ、有事法案反対の運動をすすめる決意をあらためて表明するものである。