民医連事業所のある風景 兵庫 姫路医療生活協同組合 共立病院 「その人らしく、気持ちよく生きる」を地域密着で
共立病院は、高度経済成長の公害問題のなか、「自らの健康を自ら守れる、自らの医療機関をつくろう」という運動により設立されました。1975年に共立診療所としてスタートし、83年に共立病院となりました。2023年12月、敷地内駐車場に建て替えを行いました。地域包括ケア病棟48床、月の管理患者数500人・訪問回数900回の強化型在宅療養支援病院、外来一日患者数80人、内科単科の病院です。法人では、多数の在宅介護サービスを展開しており、切れ目のない地域包括ケアを実践しています。
医療活動
入院部門では10年ほど前に、栄養サポートチーム(以下、NST)の学会参加や異動を契機に、多職種活動が活性化、20年には認知症認定看護師を配置でき、現在、NST・認知症・排泄・口腔嚥下チームが活動しています。
最近のトピックスでは、NSTが嚥下分野で先進的な治療を行っている病院に見学に行き、試行錯誤の上、従来の半分の量で同等のエネルギーが摂れる嚥下食を開発し、24年2月から導入しています。残食・栄養補助食品の減少という目に見えるかたちでの成果が現れています。
認知症チームと口腔嚥下チームでは、食事サポーター講習会(食事介助)の参加を共同企画として実施し、病棟スタッフ40人が参加しました。入院患者の7割が摂食嚥下障害・認知症・高齢者のなかで、早期退院に向けたおいしく安全な食事をめざしました。食事介助の困りごとの解決につながり、すぐに活用されています。
在宅部門は、平日2~4単位の訪問診療を行っており、外来を上回る曜日もあります。医師体制は、常勤医5人と非常勤医3人です。毎月約40人の患者の入れ替わりがあり、看護師・連携室・事務が連携をとって対応しています。院外処方せんの対応は薬剤師が担っています。看護師は毎週、情報共有のためのカンファレンスを実施しています。年間、100件を超える在宅看取りを行っており、いざというときに皆が迷わないように、近年では、「思いをつなぐシート」と題したACP同意書をカルテに文書保存し、探しやすいかたちにしました。また、放射線技師・臨床検査技師による訪問検査も数年前から始めています。
外来部門は、地域のかかりつけ医機能として、慢性疾患管理や健康診断を行っています。建て替え後、新患の来院理由に「近くだから」が増えました。高齢の患者が増えるなか、個別送迎も行っており喜ばれています。
これから
23年に病院を建て替えました。構想から実現まで10年かかりました。コンセプトは、病院機能の継続、認知症にやさしい、トイレ誘導が促せる、快適な療養環境、待合が一望できる、働きやすい導線です。ある程度、実現できたと感じています。
昨年法人が50周年の節目を迎えました。先人たちに思いをはせつつ、今後も法人理念である「その人らしく、気持ちよく生きる」を地域のなかで実践できる病院でありたいと考えています。
(共立病院 事務長 鍛冶絢子)
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