民医連事業所のある風景 兵庫 宝塚医療生協へルパーステーションひだまり 誰もが自分らしく住み慣れた自宅で過ごすことができるように
生活に寄り添う診療所として
1951年に高松診療所(武庫川河川敷)、53年に良元診療所(阪神競馬場西側)、72年には宝塚医療生活協同組合を設立、二つの診療所と組合員417人からのスタートでした。この二つの診療所は地域住民のいのちとくらしを守る診療所としてはもちろんのこと、往診・看護師訪問・受付による薬の配達など生活に寄り添う診療所として中心的な存在でした。今では、介護事業所八つ、組合員1万4626人と大きくなり、今年51周年を迎えました。
ヘルパーステーションひだまりのある建物、ひだまり会館は、2000年4月の介護保険制度開始と同時に居宅介護支援事業所ケアサポートと訪問看護ステーションひだまりを開設しました。その年の10月にデイサービスひだまり、05年6月にはヘルパーステーションひだまりが末っ子として誕生しました。小さくても地域にとって力強い介護ステーションの存在は貴重でした。
16年に高松診療所の老朽化にともないひだまり会館の建て替え建設を開始しました。組合員の力により17年には新ひだまり会館誕生!! さらにパワーアップし、1階デイサービスひだまり、2階高松診療所、3階ケアサポート・訪問看護ステーションひだまり・ヘルパーステーションひだまり、4階組合員活動スペースができ、地域組合員と医療・介護連携の拠点となりました。組合員の診療所への駆け込み「昨夜、夫がベッドから落ちて動けないの~」など突然の依頼に対応できることもあります。同じ建物内での情報共有は、迅速かつ活発に行い、利用者の変化をキャッチしやすく、生活を丸ごと支えるチームケアができます。
利用者の心に寄り添い、声を上げる
新型コロナウイルス感染症がまん延下の厳しい状況でクラスターが発生しました。この影響でデイサービスが休業した際には昼食配達や入浴介助など臨時訪問で支え合いました。「コロナ感染症陽性となり誰も来てくれない。転んで動けない。助けて~」という利用者からのSOSには感染症対応セットを積み込んで移動しているため迅速に対応できます。「あなたが来てくれたから生きることができる。ありがとう」という感謝の言葉…。物価高騰と23年の酷暑の中でも電気代がかかるとエアコンの使用を節約し、訪問時には意識がもうろうとしていて救急搬送するケース。食費を削り持病が悪化し入院となるなど「長生きしたらあかんのか?」「年金は削られ介護保険料は上がる。もう生きていけない。死んだほうがましや」などの声…。SDGsにもとりくみ、衣類リサイクルや食品フードドライブなど困っている利用者へ届けます。私たちは利用者の心の声に寄り添い声をあげます。
秋の介護ウエーブのとりくみでは、全職員が署名用紙をカバンに入れて訪問先や居宅介護支援事業所や他事業所の仲間たちにも訴えます。24年介護報酬改定で訪問介護事業の基本報酬引き下げにより事業継続が危機的な状況です。一番近くで生活を支え続ける訪問介護事業所が閉所すれば今まで以上に利用者の生活は厳しいものになります。介護は気持ちだけでは継続できません。介護する人される人、誰もが自分らしく生きることができる優しい介護保険制度になるよう声を上げ続けていきます。
(宝塚医生協へルパーステーションひだまり 所長 山下久実子)