民医連事業所のある風景 東京 ゆたか診療所
住み慣れた地域で安心して 暮らしていけるまちづくりをめざして
品川といえば新幹線をはじめとして多くの電車の路線があり、東京でも有数の交通の要衝でありビジネス街です。駅前には高層ビルが立ち並んでいる光景があります。一方で、東海道五十三次の最初の宿場町として栄え、長い歴史を持つまちでもあります。
ゆたか診療所は東京都品川区でも多くの住宅が立ち並ぶ荏原地域にあり、近くにある緑豊かな戸越公園は住民のいこいの場となっています。また、昔ながらの商店街が残り、秋にはお祭りが各地で行われ、地域との結びつきが強いところです。
地域の力で新築・移転
2007年5月、小病院であった歴史あるゆたか病院の24病床を閉鎖。ゆたか診療所となり、13年8月に住宅密集地域における防災生活道路の拡張を行うため、現在の場所に移転しました。移転新築事業の際は城南保健生協組合員はじめ地域の皆さんには建設協力募金・基金などの資金面での援助だけでなく、その建設計画づくりの構想や設計に至るまで参加をいただき、大きな力を発揮していただきました。
ゆたか診療所の外来を受診する人は圧倒的に高齢の人が占めており、その多くは複数の疾患をかかえています。体調のみならず生活環境に至るまで注意を払いながら診療を行うことを心掛けています。一般内科外来に加え、整形外科、皮膚科、泌尿器科、糖尿病外来といった専門外来の設置もあり小規模診療所としては多くの疾患に応えられる診療体制となっています。
コロナ禍においては一般診療、自治体健診などと並行しながら発熱外来を開設し、診療・検査から処方薬のお渡しまで薬局の協力もいただきながら診療所内で対応しました。
新型コロナウイルス感染症陽性者の自宅療養者に対する健康観察事業にも積極的にとりくみ、地域への貢献を実感する医療活動となりました。事業自体は終了しましたが、外来での対応は継続しています。
訪問診療では法人グループ拠点の大田病院をはじめ、法人内・外を問わず各事業所との連携を積み重ね、現在は連携強化型支援診療所として管理している人は100件以上となっています。特に強みとなっているのは併設する「通所リハビリ」「訪問看護ステーション」「居宅介護支援事業所」と迅速に連携がとれること。この地域住民の高齢化率は高く、単身・2人世帯が増加しているなかで、生活環境がよくない事例も数多くあり、対応は大変ですがスタッフは力を結集し日々奮闘しています。
共同組織の活動とともに
診療所3階の一室に「ゆたかの家」があります。「ゆたかの家」はストレッチ体操、俳句、手芸、ちぎり絵、認知症カフェなど多様なサークル活動のほか、宿題外来や認知症カフェも定期的に開催するなど、城南保健生協組合員を中心に活動をし、地域の交流の場として利用されています。
コロナ禍において活動自粛を余儀なくされていましたが、感染症5類引き下げ以降、院内感染対策を講じながら再開し始めています。徐々に地域の人たちの活動意欲が向上してきていると感じています。今後も医療、介護、福祉のさまざまな活動を通じて、住み慣れた地域で安心して暮らしていけるまちづくりをめざしていきます。
(ゆたか診療所 事務長 笹尾邦昭)