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民医連事業所のある風景 愛知 名南病院

「最も困難な人たちをチームでなんとかする病院」をめざして

 名南病院は、伊勢湾台風で名古屋市南部が甚大な被害を受けた際に、全国から集まった民医連の支援や協力をもとに、地域住民の「誰もが、いつでも、どこでも安心してかかれる病院を自分たちの手でつくろう」という運動によって設立されました。1967年に「名南外科診療所」としてスタートし、79年に現在の場所に移転改築を行い、現在、入院は急性期一般病床100床、地域包括ケア病床58床の計158床。当院の近隣はDPC病院が多くあり、大病院と在宅をつなぐハブ機能として、地域医療を行っています。外来は1日の平均患者数は約182人で、内科、外科、整形外科、小児科、泌尿器科、皮膚科と糖尿病や乳腺外科も実施しています。

名南病院の医療活動

 糖尿病や認知症の治療、褥瘡、消化器、呼吸器、循環器、緩和ケア、栄養サポートなどの分野でチーム医療を推進しています。当院程度の規模だと難しいですが、主治医以外も参画するチーム医療体制を組んで治療をすすめています。たとえば糖尿病治療では、糖尿病専門医はもちろん、認定看護師、糖尿病療養指導士などが一丸となって、教育入院やフットケアの外来診療を行っています。医療法人名南会には、介護老人保健施設や診療所があり、在宅医療への橋渡しも比較的スムーズです。在宅治療中に孤独死することが珍しくない昨今、そうした事態を招かないためにも、当法人の診療所で約180件の訪問診療を行っています。また、勤務体系に融通を効かせられたり、院内保育・病児保育が利用できたりするので、病棟を担当する医師の半数が女性医師です。
 2011年10月から多くの民医連事業所と同じく、経済的に困難を抱える人の医療費を減額・免除する「無料低額診療事業」(以下無抵診)を実施しています。22年度はのべ354人が利用し、うち日本国籍が106人、外国籍248人、外国籍の人のうち204人が仮放免または難民申請中です。無低診を利用した患者の出身国は21カ国、東南アジア、アフリカ出身の人が多く、大手自動車メーカーがあるためブラジル国籍、近年はイラン国籍が増えています。外国籍の患者はNPO法人からの紹介が大部分ですが、名古屋には外国籍を支援するNPO法人などが多くないこと、無低診を実施している医療機関が少ないため、医療を受けられない人が実際は多くいると思います。名前と連絡先を入力すれば、インターネットで相談、問いあわせができるため、若い世代の利用も増え、コロナ発熱外来を受診するケースが増えてきています。

2023年度の名南病院ビジョン

 全職責者会議で、「人権・公正・ジェンダー平等をかかげ、無差別・平等な医療を地域で実践する」「最も困難な人たちを,まず診る・援助する・チームでなんとかする病院」という2つのビジョンを確認しました。
 当院がある南区は生活保護受給率、高齢化率が名古屋市でトップです。患者の社会的背景に目をむけて、今後も自治体やNPO、地域の医療者や介護施設、そして友の会とうまく連携して、「誰もが、いつでも、どこでも安心してかかれる」地域医療をつくり続けたいと考えています。
名南病院 事務長 吉岡 奨)