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民医連事業所のある風景 東京/富士見通り診療所 その人の人生を支援する診療所

 富士見通り診療所のある東久留米市は黒目川と落合川の2本の川が流れる人口11万人ほどの市です。病院が非常に多いお隣の清瀬市と異なり、東久留米市内は大規模な病院は少なく、診療所群が市内の医療を担い、必要であれば、清瀬市や小平市の病院も活用しながら地域医療を担っています。また、大規模団地が多くありますが、居住者の高齢化もすすんでおり、高齢化率も28.5%となっています。
 富士見通り診療所の開設は今から25年近く前にさかのぼります。昔からこの地域は、保育や教職員組合の子どもをまもる運動が活発で、当時は支部の中心メンバーも教師や保育士など公務員の人が多いことが特徴でした。同時に、年金者組合の活動家も多く、診療所建設運動が地域に広がっていきました。そういったなかで富士見通り診療所は1997年11月、組合員数1600世帯で開院しました。

モットーは「対人支援」

 開設以来、東久留米市で主に外来を中心とした医療を行っています。スタッフは常勤7人、非常勤10人、非常勤医師5人の22人です。外来診療中心のため、それほど大きな所帯ではありませんが、その分、職員みんなで話し合いながら医療・臨床をすすめていくことができています。毎年3月には職員で総括方針を議論するための合宿も行っており、そこでは全員で目標を確認しあいます。
 当院の特徴としては、当初から「安心と信頼と納得の医療」をモットーに当時の中村典子所長を中心にとりくんできました。その思いを引き継いだ、橋爪洋一所長も「その人の人生に寄り添いながら、できるかぎり支えになれば」と考えながら診療を行っています。私たちは、富士見通り診療所の臨床は「対人支援」と考えています。
 私たち職員が大切にしている臨床は病気だけでなく、人間に対する興味が基本となります。診察室を出た後の患者の表情をよく観察して納得具合を察知して、みんなで対応するようにしています。
 富士見通り診療所は、特別な設備があるわけではありません。大きさもそれほど広いわけではないので、発熱対応はしていますが、PCR検査などは対応していません。そのなかで日常的なかかりつけ医としてできる限りの医療活動をしています。
 また、特徴的なものとしては、睡眠時無呼吸症候群に対応するためのSASの検査、その治療が必要となった場合はCPAPによる治療を行っています。その他、動脈硬化検査(CAVI)も実施しています。今年から土建健診も開始しています。

みんなで意見を出し合い、支え合う

 この間、診療所の屋台骨でもあり、本当に大事な仲間であった故大橋広樹事務長の急逝や新型コロナウイルス感染拡大による患者減などがありました。しかし、そんななかでも、職員一人ひとりが自分で考えることで支えあってきました。自分で自分たちの仕事についてどうするかを常勤、非常勤にかかわらず考えられる職員が、富士見通り診療所のチーム医療をつくり、診療所を支えています。今後も、利用者や組合員、そして職員が支えあう診療所でありたいと思っています。

富士見通り診療所 事務長 小林 博人)