民医連事業所のある風景 埼玉/さいわい診療所 家庭医のいる診療所として
年齢や疾患を問わず、家族まるごと、地域住民の健康のために働く家庭医(総合診療医)がいる診療所です。
さて、さいわい診療所は2022年1月に現在の場所に移転しました。1953年開設以来2度目の移転となりました。今回の移転・新築は、「人として大切にされ安心して笑顔で暮らせる地域をともにつくる」を実現するために医療と介護の一体管理と家庭医のいる診療所の役割発揮をめざしました。
移転作業中のコロナ禍
移転・新築工事の最中にコロナ禍になり、診療所の外来の様相は様変わりしました。新患が月20人ほどだった外来が、発熱外来を受け入れたことで月160人のときもあります。PCR検査は多いときで月200件を超えました。その中で陽性でも自宅療養を強いられ、自治体からの食料の給付が間に合わず家に食べるものがないという独身の人への食料の支援、新型コロナウイルスワクチン接種者で独居の高齢者への安否確認など、行政の手の届かないところへの支援を行ってきました。
川口市は人口約60万人、県内で2番目に人口の多い地域です。外国人と生活困窮者も多く、このコロナ禍ではより一層貧困問題が深刻になってきていると実感しています。
診療所では、外来患者から困窮者を取りこぼさないようにSVSシートを活用して困窮に気付けるようにしています。コロナ禍で失業し、生活不安を抱えていた人が医師の診察中の声掛けで診療所のパート採用につながった事例も生まれています。
今、診療所ではボランティアの育成にも力をいれています。診療所の正面玄関に「虹のテラス」があります。地域と事業所をつなげる場所、ひとりぼっちの組合員と地域の「健康ひろば」をつなげる場所として活用しています
人と人とがつながる診療所へ
地域の人や外来患者が気軽に立ち寄って医療生協の組合員支部の企画にふれることで人と人をつなげるとりくみです。外来の待ち時間に混雑を避け、呼び出しベルを持ってテラスに行きます。そこに支部の企画が待っていて、楽しい会話や趣味に加わってもらいながら待ち時間を過ごします。会話の中から、「折り紙教室で教えることできますよ」「将棋やってもいいかな」「どこに住んでるの、地元支部の企画にも参加したら」など会話が生まれます。この「虹のテラス」が仲間づくりや担い手づくりにつながることを期待しています。まだ始まったばかりのとりくみですが、リンクワーカーの活躍の場所にするという夢は広がります。
2023年には創立70周年を迎えます。「地域を健康にする」を実現するために地域に頼りにされ、愛される事業所づくりを貫きます。
(さいわい診療所 事務長 浜平 小百合)