民医連事業所のある風景 神奈川/なかはら看護小規模多機能ホーム 地域を支える拠点 住み慣れた地域で安心して生活を
なかはら看護小規模多機能ホームは、2015年7月、川崎医療生協初の複合型サービス(以下看多機)として川崎の中部地域に開設し、まもなく8年目を迎えます。中部地域にそれぞれ点在していた介護事業所(デイサービスみやび、なかはら訪問看護ステーション、なかはらヘルパーステーション虹、なかはらケアプランセンター)とあわせて一カ所に集まり開設された「なかはら在宅サポートセンター」として地域を支える拠点となっています。
同じ建物の2、3階にはサービス付き高齢者住宅が併設されています。同地域にはセツルメント診療所、そよかぜ薬局があり、ともに地域を支える仲間として医療・看護・介護の連携を図っています。
開設当初は、2人の利用者からのスタートでした。川崎市内でもまだ数カ所しかない看多機の認知度は低く、サービスをどのように利用できるのか?法人内外含め周囲からの理解を得ることが難しく、利用者確保が大きな課題でした。
人員体制についても訪問介護事業所との兼務体制からのスタートであったため、全日の泊まりの受け入れができない、医療ニーズに応えたいが受け入れができない、と人員体制不備とサービス運営が適正に図れない状況が続きました。経営が軌道にのらず、2018年に神奈川県連からの経営改善に向けての指導を受けました。管理・職責スタッフを中心に業務改善会議を週1回開催し、新規獲得にむけての課題の共有ととりくみ、看多機を理解してもらえるよう医療機関・包括支援センターを中心に営業回りに力を入れ、要である看護体制の整備を行った結果、徐々に医療ニーズが高い利用者の受け入れが可能となり、看多機としての機能が果たせるようになっていきました。
現在では看取りのケースの受け入れも行い、本人家族の思いに丁寧に寄り添い、希望に沿った最期を迎えられるように支援しています。
また、介護士の喀痰吸引研修を積極的に受講し、4人の介護士が吸引処置の対応が可能です。泊まりの対応も行っています。看護師だけでなく、介護士もともにお互いが連携し、サービスを提供しているのが看多機の大きな特徴です。24時間、365日、顔なじみのスタッフがサービスを提供することで、安心感があり、スタッフ間の情報共有も迅速に行えます。日々の体調管理、急変時には医療機関(往診医)との連携体制も整っており、コロナ禍においても迅速な対応がなされています。退院からの在宅復帰への移行、家族の介護力などを配慮し、必要なサービス(デイ、泊まり、訪問介護、訪問看護)を柔軟に組み合わせて提供している看多機は在宅生活を支える上で大きな役割を担っているといえます。
看多機の認知度が得られた結果、外部からの相談だけでなく、中部地域の法人内での紹介率が上がり、事業所間の連携も強化されてきました。昨年12月には、新たに看護体制強化加算Ⅱを取得しました。今後も地域に求められる看多機として、ひとりひとりに寄り添いながら、だれもが住み慣れた地域での生活を安心して継続できるよう、医療・看護・介護が一体となって支援していきます。
(なかはら看護小規模多機能ホーム 所長 明石 めぐみ)