くすりの話 リフィル処方箋
執筆/丸山 奈緒子、五十嵐 彩奈(山形・ひまわり薬局、薬剤師)
監修/野口 陽一(全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)
読者のみなさんから寄せられた質問に薬剤師がお答えします。
今回は「リフィル処方箋」についてです。
リフィル(refill)とは「補充する」「詰め替える」などの意味を持つ単語です。原則として処方箋は医師の診察を受けて発行されるもので、通常はその都度1回しか利用できません。2022年4月に導入された「リフィル処方箋」は、一定期間内に最大3回まで反復利用して薬を受け取ることができます。
病状により医師が判断
リフィル処方箋を利用する場合、1回目の有効期限は従来の処方箋と同じように「発行日を含めて4日間」です。薬局で薬をお渡しする際に、次回の調剤予定日がリフィル処方箋に記入されます。2回目以降の有効期限は、「調剤予定日の前後7日以内」となっています。この期間外に薬を受け取ることはできません。
リフィル処方箋は高血圧や脂質異常症、糖尿病といった慢性疾患などで症状が落ち着いている患者さんに対して、医師が長期間処方が可能と判断した場合にのみ使われます。患者さんの病状や体調などを踏まえて、リフィル処方箋の処方日数や利用回数が決められます。
また、すべての薬がリフィル処方箋の対象となるわけではありません。投与量に限度が定められている向精神薬(睡眠薬など)や医療用麻薬、新しく発売されたばかりの薬や湿布薬は対象外となります。
体調の変化に注意
リフィル処方箋を利用する患者さんは、2回目以降は医師の診察を受けずに薬局へ来られます。薬剤師は医師に代わって体調変化や服薬状況を確認し、その内容を医師に報告します。そのため、できれば1回目から3回目まで同一の薬局で薬を受け取ることをお勧めしています。
リフィル処方箋は、患者さんにとって通院に伴う経済的な負担や時間を節約するメリットがあります。医療機関で感染症にかかるリスクも減らせます。
ただし、医師による診察や検査を受ける機会が減り、病状の変化や薬の副作用などの発見が遅れる可能性もあります。体調に異変を感じた場合は、躊躇せず医療機関を受診しましょう。薬剤師も患者さんの体調変化を考慮して、調剤を行わずに受診を勧めることがあります。
リフィル処方箋を紛失した場合、再発行には保険が適用されず、患者さんの自費負担となります。紛失しないように注意が必要です。
いつでも元気 2024.11 No.396