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くすりの話

くすりの話

くすりの話 
たくさん飲んでも大丈夫?

回答/下浦芳久(兵庫・東神戸病院)
監修/高田満雄(全日本民医連薬剤委員会・薬剤師)

 「多剤投与」という言葉を聞いたことがありますか? 最近では「ポリファーマシー」とも言われています。ポリファーマシーのはっきりとした定義はありませんが、5~7種類以上の薬を服用していることを指す場合が多いようです。なかには、10種類、20種類の薬を服用している方もいらっしゃいます。
 今回は「こんなにたくさんの薬を服用しても大丈夫?」「たくさんの薬が本当に必要なの?」という疑問にお答えします。

●薬が増える原因

 「気が付いたら、たくさんの薬を処方されていた」という方もいるでしょう。ではなぜ薬が増えているのでしょうか? 原因として以下のようなことが考えられます。
(1)病気の治療のため、やむを得ず
 病気の中には、どうしてもさまざまな効果の薬を併用しなければならない場合があります。医療用の薬は、基本的に1種類に1成分しか入っていません。一般薬のほとんどは、さまざまな効果の成分が配合されています。
(2)さまざまな病気を抱えている
 あなたが抱えている病気が1つとは限りません。例えば、高血圧・高脂血症・糖尿病…があるとすれば、これだけでも最低3種類の薬が必要です。胃潰瘍や心不全なども抱えていると、さらに増えます。
(3)複数の医療機関にかかっている
 複数の医療機関にかかることで、それぞれの医療機関で薬が処方されますよね。その場合、気付かずに同じような薬や全く同じ薬を飲んでいる場合があるので、注意しましょう。
(4)きちんと服用していない
 患者さんが薬をきちんと服用していない場合、服用できていないことを医師に伝えないと、医師は「効果が無い」と受けとめ、薬を追加する場合があります。
 以上のほかにも、さまざまな原因が考えられます。

●たくさんの薬、大丈夫?必要なの?

 抱えている病気に対して、薬が増えることは必ずあります。必要な薬を使っていることがほとんどですが、医師が気付かないところで増えている時は前述した(3)や(4)が理由である場合があります。 
 好ましくない増え方をした場合は減らした方がよいでしょう。

●減らした方がいいのは、なぜ?

 薬には、多かれ少なかれ必ず副作用があります。また、多くの薬を併用することで薬の相互作用による危険性が高くなります。副作用や相互作用の危険性を減らすために、薬を減らせるのなら、減らした方が良いと考えます。
 そのためには、かかりつけ薬局などで、さまざまな薬局でもらっている薬(処方)を管理してもらうのが良いでしょう。
 これ以外の方法としては、お薬手帳を必ず持ち歩くこと。薬で心配なことがあれば、医師や薬剤師に相談しましょう。尋ねるのが苦手な方は、不安なことをお薬手帳に書いておくこともお勧めします。
 「こんなに薬を飲んでも大丈夫なのかな? 不安だから少し減らしておこう」というような自己判断で薬をやめるのは危険です。
 安全な薬物療法のためにも、些細なことでも良いので、気になることは薬剤師に相談してください。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2018.2 No.316