くすりの話 177 シラミの対策
A:シラミは血液や体液を吸う昆虫です。人に感染するものは3種類あり、種類によって感染しやすい人が決まっています。
頭部に住むアタマジラミは、頭をくっつけて遊ぶことが多い12歳以下の児童に感染しやすい傾向があります。ケジラミは、陰毛を主として、肛門周辺や胸毛、まつげなどに住み、性行動が活発な若い年齢層を中心に感染が広がります。寝具や衣服に住むコロモジラミは、狭くて混み合った環境や、介護が必要など、衣服の取り替えが難しい人の間で多く見られます。
日本でのシラミの感染は強力な殺虫剤が販売中止になったことや、外国で感染した人が国内に持ち込むケースもあり、近年増加しています。
Q:シラミに感染してしまったら?
A:シラミに感染したときの主な症状は、吸血された皮膚周囲の激しいかゆみです。かゆみからイライラ感や不眠を引き起こし、精神的な負担をともなうこともあります。
アタマジラミやケジラミに感染した場合、毛を剃って寄生部位をなくすことが一番簡単で確実ですが、現実には難しい場合が多く、市販されているシラミ駆除専用のパウダー剤やシャンプー剤を用いるのが一般的です。
駆除剤は、卵には効果がないため、卵が孵化する2~3日の間隔で3~4回使用します。駆除剤を使ってもシラミが消えないときは、目の細かなクシで毛をとかす方法に切り替える必要があります。
ケジラミは性交渉の相手の感染を防ぐため、いっしょに治療を受けてください。コロモジラミは、患部を清潔にして、卵や幼虫・成虫が付着した下着や衣服は新しいものに交換してください。
シラミの駆除は家庭でも手軽にできますが、かゆみによる炎症や腫れがある、駆除してもかゆみが続く、駆除剤でアレルギーを引き起こしたときなどは、医師による治療が必要です。
Q:感染を予防するために気をつけることは?
A:シラミは清潔にしていても感染することがあります。感染者が接触した寝具・タオル・帽子・ロッカーなどは共用しないでください。
また、シラミは熱に弱いので、シラミが付着している可能性のあるものを60~70℃のお湯で10分くらい熱湯消毒することも有効です。洗えない衣類、カーペットなどは掃除機をこまめにかけるようにしてください。
アタマジラミはおとなが子どもの頭髪をていねいに調べてあげることで、成虫や卵を早期に発見できます。幼稚園・保育園・学校など集団内で感染した人がいれば、感染が広がらないよう、いっせいに駆除対策を実施することも大切です。その際、感染した子どもが仲間はずれにされたり、いじめられたりしないよう、周りのおとなは細かい心配りをしてあげましょう。
いつでも元気 2015.04 No.282