くすりの話 174 思春期のにきび
Q:にきびはどうしてできるのですか?
A:思春期には性ホルモンが増加し、皮脂の分泌が多くなります。通常、皮脂は毛穴から身体の外へ排出されますが、皮脂に含まれる遊離脂肪酸が毛穴のまわりの皮 膚の角質を増やし、毛穴をつまらせます。毛穴がつまると、排出できない皮脂がたまり、にきびの初期症状である面皰(白いブツブツ)になるわけです。
そのままにしておくと、にきびを悪化させる原因となるアクネ菌が増殖し、炎症を起こして赤くはれてきます。さらに重症化すると炎症がひどくなり、膿がた まり、最終的には毛穴の組織が破壊されて、治ってもにきび痕が残ってしまいます。思春期の子どもにとってにきびができたり、にきび痕が残ることは大きなス トレスとなるので、周りの大人が気をつけてあげることが大事です。
Q:どんな薬がありますか?
A:ドラッグストアなどで買える一般用医薬品ではイオウと消炎剤を配合しているものが多く、初期症状から軽い炎症を起こしている程度まで使えます。エタノールとサリチル酸を使い、皮脂を排出する効果のある商品もあります。
病院では軽症であれば皮膚の角化をおさえて毛穴を開かせ、皮脂を排出しやすくする外用薬のアダパレン(商品名:ディフェリンゲル)がよく処方されます。ただし、この薬は妊婦や妊娠している可能性のある方は使用できません。
炎症をおこしている場合には塗り薬の抗菌剤で、ナジフロキサシン(商品名:アクアチムクリーム・ローション)やクリンダマイシン(商品名:ダラシンTゲル)などが処方されます。
重症化した場合は抗菌剤の飲み薬であるロキシスロマイシン(商品名:ルリッド)やミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)なども処方されます(小児では エリスロマイシンが処方されることもよくあります)。ミノサイクリンは一般的な抗菌剤の副作用である発疹や下痢以外に、めまいが起こることもまれにあるの で、服用する際は気をつけましょう。
Q:にきびができないようにするには?
A:にきび予防の基本は、洗顔などのスキンケアです。化粧はにきびを刺激し、皮脂を閉じ込めてしまうので、できるだけ控えましょう。
化粧や日焼け止めを塗ったときは、帰宅後すぐに洗い落としてください。寝具、化粧用スポンジやブラシの清潔を保つことも大切です。偏食や過食を避けるこ と、便秘を改善すること、十分な睡眠も重要です。にきびを触ったりつぶしたりすると感染の原因になったり、健康な皮膚まで傷つけてしまうのでやめましょ う。髪の毛で皮膚がこすれたり、刺激されたりするのもよくありません。
症状が改善しないときは、皮膚科専門医を受診しましょう。にきびは「尋常性ざ瘡」という病気です。薬を使うとにきびはおさまりますが、「根っこ」が残っ ていることがあります。治療を中断すると、そこからまたにきびができてしまいます。治療は根気よく続けましょう。
いつでも元気 2015.01 No.279