くすりの話 170 糖尿病の薬
Q:糖尿病とはどんな病気ですか?
A:すい臓から分泌されるインスリン(血糖を下げるホルモン)の出が悪くなったり、よく効かなくなってしまい、血糖値が高い状態が続く病気です。放っておくと腎臓や視力、神経などに障害が起きます。
また、糖尿病には1型と2型があります。1型は遺伝やほかの病気が原因で、インスリンが体内で作られないタイプです。2型は主に生活習慣が原因の糖尿病 で、分泌されるインスリンの量が少ないタイプと、インスリンが出てはいても効きが悪いタイプがあります。
Q:薬はどんなものがありますか?
A:治療薬には、飲み薬と注射があります。どちらもさまざまな効果の薬が発売されており、選択の幅が広がっています。
飲み薬には、インスリンの分泌を促すもの、筋肉・肝臓におけるインスリンの効きをよくするもの、同じく筋肉・肝臓における糖の燃焼を促したり肝臓での糖 の生成を抑えたりするもの、小腸からの糖の吸収を抑えるものなどがあります。最近発売された薬には、過剰な糖を尿といっしょに体外に排出させるものもあり ます。
注射薬には、不足しているインスリンを補うものと、インスリンの分泌を調節するインクレチンというホルモンの分泌を促すものがあります。
最近では飲み薬もさまざまな新薬が発売されていますが、長期的に使ったときの効果や安全性がまだ確立されていない薬もあるため、医師とよく相談して服用しましょう。
また、糖尿病の治療の基本は食事と運動です。体内でインスリンが作られない人以外は、食事と運動で血糖をコントロールできれば、薬を中止することも可能 です。ただし、自己判断で薬を調節するとかえって悪化することもあるので、必ず医師の指示に従ってください。
Q:糖尿病の患者さんに起きる低血糖とは?
A:薬や注射が効きすぎてインスリンが過剰になり、血糖値が下がりすぎる状態を言います。放置すると命にもかかわるため、とくに注意しなければなりません。
症状は「低血糖のはひふへほ」というものがありますので、覚えておきましょう。
は:腹が減って
ひ:冷や汗が出て
ふ:ふらふらして
へ:変にどきどきして
ほ:放っておくと意識がなくなる
このような状態になったら、砂糖を10~20グラム程度(目安:上白糖は大さじ1杯9グラム、角砂糖は1個4~5グラム)とってください。服用している 薬によっては、砂糖ではなく吸収が早いブドウ糖を使わなければならないこともあるので、医師や薬剤師に相談してください。