くすりの話 168 狭心症の薬
Q:狭心症とはどんな病気ですか?
A:心臓に栄養を送る血管(冠動脈)が狭くなって、心臓の筋肉(心筋)が酸素不足になり、胸の痛みを感じる病気です。ひどくなると、心筋が壊死して障害が現れる心筋梗塞となります。
狭心症は運動しているときに起こる「労作性狭心症」と、安静にしていても起こる「安静時狭心症」の2種類があります。
狭心症の原因としてもっとも多いのは、動脈硬化です。動脈硬化の主な原因は、(1)高脂血症、(2)高血圧症、(3)糖尿病、(4)喫煙、(5)閉経、 (6)運動不足、(7)肥満などです。(1)~(7)に該当する方は、年に1度は健康診断を受けて、心臓の動きをチェックしてもらうようにしましょう。
Q:動脈硬化による狭心症の治療は?
A:動脈硬化が起こった血管を元に戻すことは不可能だと言われていますので、狭心症の治療と言えば、動脈硬化が進行しないようにすることです。高血圧・高脂血症・糖尿病をしっかり治療・管理し、禁煙、体重増加の抑制、適度な運動が重要となります。
以上のような治療・健康管理をふまえた上で、必要に応じて薬物療法、カテーテル治療(カテーテルと呼ばれる細い管を用いて冠動脈を広げる)、バイパス手 術(狭くなった血管のそばに血液が迂回するための血管をつなぐ)などの治療をおこなうことになります。
Q:狭心症に用いる薬はどのようなものが?
A:代表的な薬には、冠動脈を広げて心筋への酸素供給量を増加させる「硝酸薬」「カルシウム拮抗薬」、心拍数を減少させ心臓の酸素消費量を減らす「交感神経β(ベータ)遮断薬」、血液が固まるのを防ぎ血栓をできにくくする「抗血小板凝固薬」があげられます。
ただしこれらの薬は効果は高いのですが、副作用にも気をつけなければなりません。硝酸薬やカルシウム拮抗薬は冠動脈以外の血管も広げるため、血圧低下や 頭痛が起きる場合があります。交感神経β(ベータ)遮断薬は脈が遅くなるため、不整脈がある方には適していません。抗血小板凝固薬服用中は出血しやすくな るため、抜歯や胃カメラ検査をする時は服用を一時中止する必要があります。
安全・有効に薬を使用するためには、効果と副作用を正しく理解することが大切です。医師・薬剤師の指示をきちんと守りましょう。
いつでも元気 2014.7 No.273