くすりの話 112 「睡眠改善薬」では不眠は改善しない
Q:最近よく眠れません、不眠症でしょうか?
A:日本人の5人に1人は不眠で悩んでいるといわれています。その原因は人によってさまざまですが、社会生活の24時間化やストレスなどが大きくかかわっているようです。不眠には次のような4つのタイプがあげられます。
(1)入眠障害:寝つきが悪くなかなか眠れない。(2)熟眠障害:眠りが浅く、すぐに目が覚めてしまう。(3)中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしま い、眠れなくなってしまう。(4)早朝覚醒:朝早くに目が覚めてしまい、そのまま眠れない。
心配ごとなどで、一時的に眠れなくなることは誰にでもよくあることです。そのとき、眠れないことに対して不安や緊張を感じると、不眠が続いてしまうことがあります。
不眠症かどうかは、平常時と比べ目覚めたときにだるさや眠気があり、日常生活にさしつかえる、その程度によって判断します。睡眠時間の長さによって決まるものではありません。
Q:「睡眠改善薬」というのはどんな薬ですか?
A:例えば「ドリエル」は、病院で処方される睡眠薬(ベンゾジアゼピン系など)とは異なります。
医薬品のかぜ薬や鼻炎薬などに含まれる眠くなる物質が配合されており、その作用で一時的な不眠症状を緩和するといわれています。
つまり不眠を改善する薬ではなく、風邪薬の眠気の副作用を利用しているに過ぎないのです。そのためドリエルの効果に関しては、個人差が大きいと考えられます。過去に風邪薬や鼻炎薬を飲んで眠気の副作用を感じたことのある人に対しては、効果が出やすいのではないでしょうか。
ドリエルの主な副作用として、昼間の眠気・めまい・頭痛・発疹・胃痛・吐き気・口の渇きなどがあります。このような症状が続く場合には、服用を中止しなければなりません。
現在、医師の治療を受けている人、緑内障や前立腺肥大と診断されたことのある人は、服用前に医師や薬剤師に相談しましょう。用法・用量を守ることはもちろんですが、2~3回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医療機関を受診することをおすすめします。
Q:不眠を解決する方法はありますか?
A:不眠を解決するためには、(1)不眠の原因を取り除くこと、(2)不眠症で あることを悩みすぎて逆に不眠になってしまわないようにすることが大切です。不眠の原因には、身体の不調・環境の変化・精神的ストレス・心の病気・薬やアルコールなどがあげられます。不眠で悩んでいる場合は、まずこれらの原因をチェックしてみましょう。また、生活面での工夫として眠りやすい環境をつくるこ とも必要です。
医師による不眠症治療は、一般的には睡眠薬による治療ですが、薬を使わず精神療法をおこなっていく場合もあります。不眠でお悩みの方は、医師の診察を受けることをおすすめします。
いつでも元気 2009.2 No.208