くすりの話 101 続々増える…コンビニのクスリ
Q:最近、コンビニエンスストアでもクスリを売っているのを見かけますが…
A:現在、コンビニエンス ストアで売っているクスリは「医薬品」ではなく「医薬部外品」です。ここ10年くらいの間に、わたしたちの身近には健康にまつわる錠剤やカプセルなどがた いへん増えました。2004年7月には規制緩和の流れで、薬局や薬店などでしか売れない医薬品のうち371品目が、医薬部外品となりコンビニでも販売でき るようになりました。トローチやうがい薬、シップ、消化を助ける生薬が入ったもの、コンタクトレンズ装着剤などが店頭に置かれています。
Q:「医薬品」と「医薬部外品」はどう違うのでしょうか?
A:医薬品は、「病気の予防や治療を目的に、品質・有効・安全性を調査して、厚生労働大臣や都道府県知事が認めたもの」です。商品名から使い方にいたるまで、細かく決められています。
それに対して医薬部外品は、「特定の効能効果について承認されたもの」で、主眼は病気治療ではなく、予防や改善です。作用が穏やかで医薬品ほどの効果は 期待できず、法律上は「医薬品に準ずるもの」です。ただ、副作用が起きる可能性はゼロではありません。高血圧や糖尿病、そのほか慢性疾患を持っている方は 特に注意が必要です。注意書きをよく確かめる必要があります。
Q:トラブル・事故があった場合は?
A:服用して体調が悪くなった、使って刺激を感じたなどの場合は、すぐに使用を中止しましょう。改善しない場合は、購入先でなくてもいいので薬剤師や医師にご相談ください。医療従事者は医薬部外品についても健康被害があれば厚生労働省に報告することになっています。
しかし医薬部外品は、正しく使う責任は購入者本人にあり、重い副作用が疑われる症状があっても、「医薬品副作用被害救済制度」による救済対象とはなりま せん。「使用上の注意」「用法・用量」といった説明書の指示は必ず守りましょう。
Q:市販薬は、これからどうなるの?
A:2009年度には、大きな制度改正があります。さらなる規制緩和により一部を除き、「医薬品」の多くが薬局の薬剤師以外でも販売できるようになります。そして、新たに「登録販売者」という資格が誕生し、販売はそこに一任されます。
どこでも薬が買えるのは,確かに便利かもしれません。製薬企業やコンビニ業界では「新たな制度で市場活性化の好機」と捉えています。
一方で、医師・看護師をはじめ医療職の不足で診療が受けにくい、療養の相談ができる相手がいない…といった現状があります。
「自己責任(患者の責任)でいつでも薬が買える(売れる)」だけでよいのか、総合的に考える時期にきているのではないでしょうか? 私たちが本当に欲し いのは「健康」であって「薬」ではないのですから。
いつでも元気 2007.10 No.192