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くすりの話

くすりの話

くすりの話 48 お茶の健康パワー

Q:最近、お茶に殺菌作用があると話題になっていますが、お茶の効能を教えてください。

A:お茶と人とのかかわりは、おそらく数千年、いやそれよりも前にさかのぼると思われます。中国最古の薬物書『神農本草』に、茶の薬効がはじめて書かれました。神農とは中国の伝説上の神で、一日100草を摘んでなめ、72の毒にあたったが、茶を飲んで毒を消したといいます。
現代では、お茶のもつ成分とその効能が明らかになっています(下表)。お茶の主成分はカテキンとビタミンC、カフェインです。よく聞くカテキンとは、ツバ キ科の植物の葉に含まれる渋みの成分で、ポリフェノールまたはタンニンと呼ばれます。昔から、細菌による腐敗を防ぐ防腐剤として使われ、コレラ菌とカテキ ンを混ぜるとコレラ菌が死滅するという報告があります。
緑茶のなかのカテキンと他の成分との相互作用で、最近、お茶の「制がん効果」「腸管出血性大腸菌O-157への抗菌効果」「アルツハイマー病予防効果」 「老化予防」「ヘリコバクターピロリ(ピロリ菌)の徐菌効果」などの多くの研究がされています。今後の研究に期待したいところです。
いまのところ、薬としての効果よりも、健康を保つために飲むことをおすすめします。

お茶の成分
効   能
カテキン類
(茶の渋み)
抗酸化性、制がん性、消臭性、抗菌性、コレステロールバランス調整、動脈硬化抑制、脂肪吸収抑制
フラボノール 血栓形成抑制、白内障抑制、がん細胞増殖抑制、消臭作用
カフェイン 覚醒作用、大脳刺激作用、利尿作用
サポニン 去痰作用、消炎作用
γ-アミノ酪酸 血圧降下作用、脳代謝促進作用
ビタミンC 抗壊血病性
ビタミンE 抗酸化作用、コレステロールバランス調整、動脈硬化抑制
フッ素 虫歯予防
亜鉛 幼児の発育促進、味覚機能向上
資料:農林水産省野菜・茶業試験場茶利用加工部

Q:お茶の種類についても教えてください。

A:お茶の種類は、製造方法の違いをもとに緑茶(不発酵茶)、紅茶(発酵茶)、ウーロン茶(半発酵茶)の3つに大別されます。緑茶はさらに蒸し製と釜炒り製にわけられます。そのほか、産地や製造の時期・季節・品種別を加えると、茶の種類は無数ともいえます。

なじみの深い緑茶を紹介しましょう。

煎茶、深蒸し茶 緑茶の代表。日本茶の85%を占める
番茶 煎茶を加工する過程で除去される大きな軽い葉・茎・芽・粉などのいわゆる「出もの」が原料。成分は豊富
ほうじ茶 番茶を強火で炒って、香ばしい香りを、つけた茶。カフェインやタンニンは少ない
玄米茶 茶や煎茶に高圧で炒った米などを混ぜたもので、香ばしい玄米の香りがする
玉露・かぶせ茶 よしず棚などで茶園を覆い、直射日光を避けて旨みをふやし、苦みを抑えた高級茶。覆う期間の短いものをかぶせ茶という。
抹茶(てん茶) 玉露同様、日光を避けて育て、蒸したあと葉脈を取り除き、乾燥させ(てん茶)、石臼で挽いて粉にしたもの。主に茶道に使われる
蒸製玉緑茶 製造最終工程が煎茶と異なるため形が丸い。「ぐり茶」とも呼ばれる。さっぱりした味が特徴
釜炒り製玉緑茶 鉄製の釜で茶葉を炒って仕上げる。炒った香りが特徴。主に九州地方で作られる

いつでも元気 2001.6 No.116