くすりの話 44 おせち料理とお屠蘇
Q:お正月に、なぜおせち料理を食べるのですか?
A:「おせち」はそもそも「お節句」が変化したもので、いわゆる五節句(正月7日の人日、3月3日の上巳、5月5日の端午、7月7日の七夕、9月9日の重陽)に神前にお供えした料理のことでした。その後、ごちそうの多い正月料理だけを「おせち」というようになりました。
お正月におせち料理を食べるのは、正月の3日間は女性が休養できるように、という説もありますが、本来は神様を迎えているあいだは物音をたてたり、騒が しくせず、台所で煮炊きするのを慎むところからきています。
Q:おせち料理のひとつひとつに意味があると聞いたことがあります。
A:「おせち」料理は、それぞれお祝いの象徴であったり、縁起をかついだりするものばかりです。
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おせちは、縁起だけでなく栄養の点でも、長い体験にもとづき、うまくバランスのとれたものになってきたと考えられます。
Q:お屠蘇はなぜ飲むの?
A:お屠蘇は、「鬼気を屠絶し、人魂を蘇生させる」といういわれから名づけられ、1年の邪気を払う酒です。いまは薬局などで売っている屠蘇延命散をみりんや酒に入れたものをいいます。
もともと屠蘇はお祝い用の薬用酒で、奈良時代に中国から伝わりました。5種類の生薬を絹や木綿の袋につめ、みりんや酒に浸して抽出します。5種類の生薬に はそれぞれ、利尿・健胃(白朮)、健胃(山椒)、鎮咳去痰(桔梗)、健胃・発汗・解熱(桂皮)、発汗・解熱・抗炎症(防風)の働きがあります。
以上の効能から考えると、お屠蘇は胃腸の働きを整え、のどや気管支を保護する働きがあるといえます。昔からの風習というだけでなく、現在でも風邪を予防する効果が期待できます。
いつでも元気 2001.1 No.111
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