くすりの話 42 薬の入手方法~犯罪に使われた薬
Q:医薬品を悪用した事件が多いようですが、どんな薬も簡単に手に入るものなのですか?
A:薬を使った事件が、全国各地で多発しています。青酸カリやヒ素などを使った毒殺は聞いたことがありますが、最近は解熱鎮痛薬アセトアミノフェンや、気管支拡張薬サルブタモールなど、身近にある薬が殺人に使われていることに驚かされます。
薬には治療などに使う医薬品以外に、化学薬品、工業用薬品、農薬などの「医薬用外薬品」もあります。医薬品は「薬事法」で、「医薬用外薬品」は「毒物及 び劇物取締法」で開発や取り扱いなどが規制されています。
覚せい剤や麻薬は、「覚せい剤取締法」「麻薬及び向精神薬取締法」などで、保管・管理・販売なども厳しく規制され、通常では簡単に手に入らないようになっています。
しかし最近の事件では、▽業務用の白アリ駆除の薬を使って、▽医療従業員が病院から薬を盗んで、▽市販の風邪薬を大量に購入して、▽不眠を訴えていくつ もの医療機関から睡眠薬を処方してもらってなど、さまざまな手段で薬が入手されています。 人びとの健康や保健に貢献すべき薬が、犯罪に使われることは残念でなりません。
Q:ドラッグストアで大量に薬を入手する場合もあったようですが、薬局とドラッグストアはどう違うのですか?
A:ドラッグストアが風邪薬を棚ごと大量に売っていたり、覚せい剤がわりに使われることがある鎮咳剤ブロン液を大量に売っていたり、また、抗潰瘍剤のH2ブ ロッカーを説明せず売っていたことも報道されました。薬を他の商品と同じように、大量に売ればいいとする販売姿勢は問題です。
ドラッグストアは医薬品や化粧品、雑貨類の日用品を主体として豊富な品揃え・低価格・セルフ販売のお店を総称して呼んでいます。医薬品販売の形態は、法的 に薬局、医薬品一般販売業、薬種商などに区分されています。
調剤ができるところを薬局(医薬品の販売もできる)、調剤ができなくて医薬品の販売のみのところを一般販売業といいます。また、薬剤師でなく薬種商資格者 が指定医薬品以外の医薬品を販売するところを薬種商といいます。
医薬分業がすすみ、処方箋を持ちこんで調剤してくれる薬局を明示する必要がでてきました。そこで、薬局が「○○ドラッグ」「○○薬品」などの名前を使って いると、国民にとってはわかりにくいため、薬局の許可を取っているところは必ず「薬局」の名称をつけるよう行政指導されています。
ドラッグストアは、一般的に多店舗でチェーン展開し、販売に重点を置いています。調剤をやっていないことから、一般販売業・薬種商の店舗が多いようです。 しかし最近では、大手チェーンドラッグストアも調剤に乗り出してきており、薬局の割合も増えてきています(その場合は「ドラッグストア○○薬局」となって います)。将来的には、アメリかのようにドラッグストアが調剤もできるところの名称になるかもしれません。
いつでも元気 2000.11 No.109
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