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くすりの話

くすりの話

くすりの話 40 タバコがやめられる薬

Q:タバコの煙には発がん物質があると聞きます。それ以外にもどんな影響があるのですか?

A:タバコの煙には4000種類の化学物質が含まれ、そのうち有害物質が200種類、発がん物質が40種類以上と言われています。喫煙者が肺がんにかかる危険 は非喫煙者の約4倍(1日10~14本)から15倍(1日50本以上)。また発がん性のほか、さまざまな体の器官に障害を起こすことがわかっています。

1)循環器系への影響
ニコチンは口や肺の粘膜から数秒で体内に吸収されます。心拍上昇や血圧上昇、末梢血流減少のため、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患による死亡率を上昇さ せると言われています。また、動脈硬化も促進します。
2)消化器系への影響
胃腸の血流が低下し、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の治りが遅くなるばかりか、潰瘍の再発率が高くなります。
3)呼吸器系への影響
タバコの煙に含まれる微細粒子のほか、アセトアルデヒドやアクロレインなどの刺激物質が気管支腺を刺激するうえ、肺の細胞を傷つけ慢性の炎症を起こします。
4)その他の影響 皮膚や歯肉への血流が低下するため、皮膚の老化や歯周病も増加します。

Q:タバコをやめたいのですが、なかなかうまくいきません。何かいい方法はありませんか?

A:禁煙補助薬という薬があり、これは、禁煙したときに生じるワクチン離脱症状を軽減するために、人為的にニコチンを体内に投与するものです。その後、徐々にニコチンを減量し、ニコチン依存から脱け出させます。
ニコチン離脱症状とはおもに、身体症状(瞳孔調節障害、立ちくらみなどの自律神経異常、睡眠異常など)と心理的喫煙要求があり、身体症状がなくなっても、喫煙欲求が続きます。

現在、国内で使用が認められている禁煙補助薬はガム型とテープ型の2種類です。
ニコチン含有ガム製剤(商品名ニコレット)
ニコチンをチューインガムに含ませたもので、重症のニコチン依存症の方では、禁煙直後やや物足りない感じもあるようですが、たいていは1日5~6個から12個くらいの使用で効果があるようです。
経皮吸収ニコチン製剤(商品名ニコチネルTTS)
ニコチンを含んだ貼付剤です。このテープ型の薬1枚を24時間貼っておくことで、1日中一定の量のニコチンが体のなかに保たれ、1日20本以上タバコを吸 う方でも、それほど違和感なく禁煙できるようです。また、仕事がらニコチンガムが使えない方にも適しています。

喫煙者の方たちは、禁煙をはじめてもあまり自信がないようです。これまで何度か禁煙に挑戦して、離脱症状のつらさに禁煙をあきらめてしまった方も多いことでしょう。
ところが禁煙補助薬を用いると、不快な離脱症状は感じられないか、非常に弱くなります。保険はききませんが、医師の処方箋や指示が必要です。まずはお近く の医療機関に相談してみてください。最近では「禁煙外来」をおく病院も増えていますよ。

いつでも元気 2000.8 No.106