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いつでも元気

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青の森 緑の海

2021年4月、沖縄県今帰仁村

2021年4月、沖縄県今帰仁村

 沖縄の海岸線を歩くのは面白い。サンゴでできた隆起石灰岩の地形に、ジャングルそのもののアダン林、貝殻やサンゴのかけらから成る白い砂浜。バリエーション豊かで飽きることがない。
 今帰仁村にある古宇利島は、手軽にブルーの海を楽しめる場所として観光客に人気だ。島の北側にトケイ浜という砂浜があり、ここには「円筒状空洞地形群」が展開している。
 〝ポット・ホール〟という名前は聞いたことがあるだろうか。川底が石などで削られ、穴が徐々につくられたものだ。円筒状空洞地形群は、更新世につくられた琉球石灰岩のポットホールが、さらに長い年月をかけて赤土や雨水との溶解反応でできた。トケイ浜では、大きなもので直径3m近い空洞も見られる。
 島の土台である琉球石灰岩の年代は、研究者によって8~15万年前とかなり幅があり正確には分からない。気が遠くなるような歴史を秘めた構造物を目の前にすると、自然と背筋が伸びるような気持ちになる。
 写真の空洞は50㎝ほどの大きさで、見事な円形の空洞には〝美〟の本質が見えるような気がする。
 古宇利島での観光は、人があふれるビーチで海水浴、そしてカフェ巡りが定番だ。一方で人の時間からしばし離れ、古代に思いをはせてみるのもいいのではないだろうか。


【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、沖縄と琉球弧から人と自然のいのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。

いつでも元気 2025.4 No.401