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いつでも元気

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くすりの話 お薬手帳

執筆/鈴木 雄晴(埼玉・かまくら薬局、薬剤師)
監修/野口 陽一全日本民医連薬剤委員会、薬剤師)

読者のみなさんから寄せられた質問に
薬剤師がお答えします。
今回はお薬手帳についてです。

 みなさんはご自身が服用している薬に関して、いつ、どこでもらったものか、薬の名前や規格、飲み方、何日分かなどを常に把握して正確に答えられますか? 飲んでいる薬の数や受診している医療機関の数が多いほど、把握するのは難しいでしょう。お薬手帳は服用している薬の情報を正確に把握するための大切なツールです。

災害時にも役立つ

 薬の情報を把握することは、ご自身の健康管理に役立つだけでなく、薬を安全に適正に使用するために重要です。健康管理というとイメージしにくいかもしれませんが、例えば薬を服用していて感じた疑問や体調変化などをお薬手帳に記録しておき、受診時に医師や薬剤師に相談するといった使い方です。体調変化の記録から薬の副作用かどうかを判定できることもあります。
 薬を安全に適正に使用するためには、患者さんのアレルギー歴や副作用歴に加え、一緒に使ってはいけない薬や同じ効能の薬の重複がないかなどを確かめる必要があります。医療機関や薬局のカルテにはこれらの情報を記録していますが、違う医療機関や薬局では基本的には共有されていません。お薬手帳があれば、複数の医療機関や診療科を受診したり、転院した場合にも薬に関する情報を医療者が共有して安全な治療につなげることができます。
 また近年のような度重なる災害の際も、お薬手帳の記録があれば、何の薬が必要か、緊急性はあるか、代替薬はあるかといったことを検討するのに役立ちます。実際に震災や豪雨などの災害時、お薬手帳の有用性が度々報告されています。

電子お薬手帳

 従来の紙のお薬手帳は、手帳とペンさえあれば誰でも簡単に記録できるのが利点です。気になることや伝えたいことを簡単に書き加えることができます。一方で手帳の切り替えのタイミングによっては、新しい手帳だけでは服用中の薬の情報がすべて記載されていない場合があります。
 電子お薬手帳は、スマートフォンにアプリを入れることで使用できる手軽さが利点です。電子データなので持ち運びに便利で、紙の手帳のように記録が途切れてしまうこともありません。一方で、パソコンなどの電子機器がないとデータを送受信できないことや、アプリ間での互換性の問題などが欠点です。
 それぞれの利点と欠点を踏まえて、お薬手帳を活用しましょう。

◎「いつでも元気」連載〔くすりの話〕一覧

いつでも元気 2025.3 No.400