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いつでも元気

いつでも元気

けんこう教室 暮らしの保健室(下)

北海道函館市で月1回、「はこだて暮らしの保健室」を開く
舛森悠さん(医師、函館稜北病院)に、
診療や取り組みの中で気付いた「健康維持のためのアドバイス」を
寄稿していただきました。

北海道・函館稜北病院 総合診療科 舛森 悠

北海道・函館稜北病院
総合診療科
舛森 悠

 「はこだて暮らしの保健室」については、1月号で詳しくお話ししました。元気に年を重ねるためには、人とのつながりを持ち続けることが大事です。社会とのつながりが少ないことは、死亡リスクを高めるという研究結果もあります(資料)。地域の活動や趣味を通じて他の人と関わることで、心も体も健康を保つことができます。
 適度な運動やバランスのとれた食事、さらに毎日の中に小さな楽しみを見つけ、新しいことに興味を持ち続けることが大切です。まさにこのような生活を体現されている、ひときわ元気な高齢者のみなさんに出会ってきました。そんな方々から学んだ大切なポイントを紹介していきます。

ポイント ❶ 健康にいい食べ方

 「ベジファースト」という食べ方を知っていますか? これは、食事の最初に野菜を食べる方法です。
 野菜を先に食べると、血糖値が急に上がるのを防ぐことができます。野菜に含まれる食物繊維が、体の中で砂糖の吸収をゆっくりにする働きをしてくれるからです。これは糖尿病の予防に役立ちます。
 例えばサラダを先に食べてから、ごはんやおかずを食べるだけでいいのです。野菜を先に食べると、お腹がいっぱいになりやすいので、食べ過ぎも防げます。
 いろいろな色の野菜を食べると、体に必要な栄養をたくさん摂取することができます。「1日3回の食事で、5色(赤・白・黄・緑・黒)の食べ物をバランスよく」を目指して、楽しく健康的な食事をしましょう。

ポイント ❷ 運動を続けるコツ

 運動は体に良いのですが、続けるのは難しいと感じる人も多いです。大切なのは、楽しみながらできる運動を見つけることです。
 無理に激しい運動をする必要はありません。散歩や庭いじり、太極拳や踊りなど、自分が楽しいと感じることを見つけましょう。私が知っている80代の女性は、毎朝ラジオ体操をしています。「音楽に合わせて体を動かすのが楽しくて、自然に続けてしまうのよ」と言っていました。
 友達や家族と一緒に運動すると、もっと楽しくなります。地域の歩こう会や体操教室に参加するのも良いでしょう。無理せず自分のペースで少しずつ続ければ、きっと体に良い変化が現れます。

ポイント ❸ 歯磨きの大切さ

 歯を大切にすることは、体全体の健康につながります。歯や歯ぐきの病気が原因で、心臓病や糖尿病になりやすくなることが分かっています。毎日丁寧に歯を磨き、定期的に歯医者さんで診てもらうことが大切です。
 特に年をとると歯ぐきの病気になりやすいので、注意が必要です。歯磨きは、食べた後30分くらいしてからするのが良いでしょう。歯ブラシだけでなく、歯と歯の間を掃除する道具も使うと、もっときれいになります。
 半年に1回くらい歯医者さんに行って、チェックしてもらいましょう。健康な歯があれば、おいしい食事を楽しめます。歯を大切にすることで、体全体の健康も守れるのです。

ポイント ❹  「かかりつけ医」を持つ

 いつも診てくれる「かかりつけ医」を持つことは、とても大切です。定期的に同じお医者さんに診てもらうと、あなたの体の調子や変化をよく分かってもらえます。また、何か心配なことがあったときに、すぐに相談できることも安心につながります。
 かかりつけ医と良い関係を作るには、風邪やちょっとした体の不調でも相談に行くことです。そうすると、お医者さんもあなたの普段の様子が分かるので、より良いアドバイスができます。大きな病気になったときも、専門のお医者さんを紹介してもらったり、治療について相談できます。
 お医者さんとのお付き合いは、お互いに協力することが大切です。分からないことがあれば、遠慮せずに質問しましょう。自分の体のことを知ろうとする姿勢が、より良い治療につながります。

ポイント ❺ 年に1回の健康診断

 年に1回の健康診断は、自分の体の調子を知る大切な機会です。病気の始まりは、自分では気づきにくいものです。健康診断を受ければ早く見つけることができ、早く見つかれば治りやすくなります。
 例えば、糖尿病になる前の段階で分かれば、食事や運動に気をつけるだけで良くなることもあります。面倒くさいと思わずに、毎年健康診断を受けましょう。それがあなたの健康な生活を守ります。

ポイント ❻ 薬の副作用に注意

 薬は病気を治す大切な役割を果たしますが、体に良くない影響(副作用)を与えることもあります。年をとると薬に対する体の反応が変わることがあるので、定期的にかかりつけ医とも相談しながら、本当に必要な薬だけを飲むようにしましょう。
 例えば血圧を下げる薬を長く飲んでいる人が、生活習慣の改善によって血圧が安定して、薬の量を減らせることもあります。体に優しい方法で健康を保つことが大切です。

ポイント ❼ 健康情報との付き合い方

 現代はテレビやインターネットで、たくさんの健康情報を得ることができます。でも、その中には間違った情報もあるので気をつけましょう。
 その情報を発信しているのは誰ですか。お医者さんや保健所、厚生労働省などが出している情報は信頼度が高いです。
 自分の体のことで心配なことがあれば、インターネットで調べるよりも、まずはかかりつけ医に聞いてみるのが一番です。あなたの体のことをよく知っているお医者さんが、一番良いアドバイスをくれるはずです。

ユーチューブでも発信

 私自身、コロナ禍をきっかけにユーチューブでの情報発信を始めました。日頃の診療だけでは伝えきれない知識を、分かりやすく伝える必要があると感じたからです。興味のある方は「YouTube医療大学」で検索してみてください(別項)。
 みなさんがそれぞれの人生を楽しみながら、元気に過ごすための参考にしていただけたら嬉しいです。


YouTube医療大学
登録者約67万人の人気コンテンツ。再生回数576万回の動画も。「80歳でも脳が老化しない人 意外な特徴5選」「血糖値下げる最高の食材・果物」「胃がん 意外すぎるSOSサイン」などテーマは多彩


『総合診療科の僕が患者さんから教わった70歳からの老いない生き方』

著者:舛森 悠 出版社:KADOKAWA 定価:1650円(税込み)

著者:舛森 悠
出版社:KADOKAWA
定価:1650円(税込み)

いつでも元気 2025.2 No.399