• メールロゴ
  • Xロゴ
  • フェイスブックロゴ
  • 動画ロゴ
  • TikTokロゴ

いつでも元気

いつでも元気

ケアマネの八面六臂な日々

自転車は相棒

 2024年11月1日から、道路交通法が変わりました。自転車に関しては「運転中のながらスマホ」(運転しながらの携帯電話使用など)や、「酒気帯び運転及び幇助」が罰則の対象になりました。
 私の勤務する事業所では、ケアマネジャーが利用者宅を訪問する際、主に自転車を使います。10年ほど前のこと、自転車の後ろの荷台にポータブルトイレを紐で括り付け、利用者のお宅に届けたことがありました。地域で顔なじみの宅配業者には「それ、ありっすか~?」とあきれられました。
 括り付けた紐がほどけ、天女の羽衣のように紐を風になびかせながら走り去る私の姿に、知り合いが爆笑。こんな運転は違反になるのでしょうか? 自転車に乗らない日はほぼないほどで、〝相棒〟と言ってもいいかもしれません。
 腰痛がある人でも、自転車は痛みを感じずに移動できるので便利な道具です。その一方で、運転にはさまざまな危険も伴います。
 89歳の男性Aさんは、ひとり暮らしで要介護2です。駅ビルの地下にある蕎麦屋が行きつけのお店。認知症をわずらっていますが、自転車で毎日、昼に食べに行くのを楽しみにしています。
 ある日、近くに住む娘さんから「父が自転車の違反で裁判所に呼び出されたみたいです」と焦った様子で電話が入りました。自宅に行きAさんに確認すると、自転車の傘さし運転と信号無視で警察官につかまったことを覚えていました。
 Aさんは息子さんと一緒に交通裁判所に行きました。反則金を納めただけで不起訴になりましたが、「雨の日は自転車に乗らない」と誓約書を書かされたそうです。
 家族から自転車に乗ることを止められたAさん。日課である蕎麦屋に歩いて行くのは距離的に厳しく、結局、自転車に乗ってしまいます。自転車を取り上げるわけにもいかず、「便利と危険は表裏一体だなあ」としみじみ思います。
 自転車の違反は信号無視や遮断踏切立ち入りのほか、夜間の無灯火やブレーキ不良でも罰金が取られる可能性があります。年々、取り締まりは強化されており、相棒との付き合い方も慎重になります。


石田美恵 
全日本民医連「ケアマネジメント委員会」委員長

いつでも元気 2025.2 No.399