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いつでも元気

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まちのチカラ 岩手県雫石町 虹のかかる温泉郷

雫石町は「虹の似合うまち」。雨上がりの田園に二重の虹がかかった(雫石町提供)

雫石町は「虹の似合うまち」。雨上がりの田園に二重の虹がかかった(雫石町提供)

盛岡市のとなり、
秋田県との境に位置する雫石町。
虹の出現率が高く、
南部鍛造アクセサリーや雫石牛、
秘湯巡りも魅力です。
観光資源に恵まれた
自然豊かな町を訪ねました。

 東京駅から秋田新幹線で2時間半、雫石駅に到着です。奥羽山系の山脈に囲まれた扇状の盆地をかたどり、スキーや温泉、小岩井農場などの観光資源が豊富な町です。
 「雨の下」と書く「雫」の名の通り雨が多く、虹がよく出る雫石町。21年度には町内で41回も虹が観測され、9日に1回のペースで虹が出現したことになります。
 まずは岩手山南麓に位置する標高1300mの網張温泉スキー場へ。条件がよければ眼下に雲海が広がります。早朝6時半から「天空のリフト」が運行し(2024年は6月1日から11月4日まで)、スキー場の3つのリフトを乗り継いで絶景の犬倉山展望台へ向かいます。新緑や紅葉を眺めながら、心洗われる空中散歩です。
 夜のおすすめは「雫石銀河ロープウェー」(2024年の運行は4月19日から11月3日まで)。雫石スキー場の標高730m地点での星空観測です。静寂に包まれたゲレンデに寝転んで、空には光り輝く満天の星。星空案内人による分かりやすい解説を聞きながら、流れ星の出現に歓声が上がります。宮沢賢治の世界を彷彿とさせる空の旅をお楽しみください。

鉄と漆 南部鍛造アクセサリー

 岩手県の伝統工芸といえば南部鉄器と漆。その伝統の技に新しいデザインを融合させた、流工房を訪ねました。
 同工房代表の鈴木勝さんは大阪出身。前職の建築業で日本中の建築木材を探し歩く中で、「日本一の田舎だ」と岩手に惚れ込み、会社を辞めて18年前に雫石町に移住しました。南部鉄職人との出会いをきっかけにアクセサリー作りを始め、「南部鉄=重そうな鉄瓶」というイメージを変えたいといいます。
 天然の温泉水と緑茶で黒染めされた温かみのある南部てつびんアクセサリー、最高級の浄法寺漆による蒔絵を施した指輪、平泉の黄金文化にちなんだ金箔貼の馬蹄型ペンダントなど、作品は県内200カ所以上に置かれ、日本的なデザインが海外でも人気を呼んでいます。
 「鉄は長く愛用するうちに、錆びることなく良い味に育つんです」と語る鈴木さん。愛おしそうに鉄を打ち、岩手各地の情景を作品に込めます。

極上の旨み 雫石牛

 町の特産品雫石牛は、岩手山の伏流水と町の恵まれた自然環境の中で育った黒毛和種です。長年の試行錯誤によって磨き抜かれた飼育技術が、品質の高さを確保。その中でも格付けランクA4・A5に選ばれた上級品のみが、雫石牛を名乗ることができます。
 「風邪などをいち早く発見して、牛にストレスをかけないようにしています」と語るのは、30頭の牛の世話をする畜産農家の坂井尚樹さん。牛の健康を守り、地元産の飼料を使って肉質向上につなげています。
 雫石牛の味を確かめるために、道の駅雫石あねっこへ。ステーキセットや串焼きなどさまざまなメニューの中でも、サーロインステーキ丼がおすすめです。雫石牛のサーロインを贅沢に使い、鮮やかな地元野菜とともに特製醤油ダレで仕上げました。きめ細かなサシが入り、口の中でとろけるような舌触り。まさに極上の味わいです。ぜひご賞味ください。

個性豊かな 秘湯めぐり

 町の面積(約600㎢)は東京23区に匹敵し、山々の自然に囲まれたロケーションの中に11カ所の温泉が点在しています。泉質も効能も全く異なる、個性豊かないで湯を巡りました。
 町西部、秋田駒ケ岳の登山口にたたずむ国見温泉。珍しい緑色の湯は皮膚病に効くと評判です。ペット用の露天風呂もあり、皮膚病にお困りの犬猫のお肌が目に見えてよくなったという写真が、入口に貼られています。
 北部に位置する網張温泉は、野天風呂「仙女の湯」(11月上旬~5月中旬まで冬期閉鎖)が名物。ホテル「休暇村岩手網張温泉」から森の中を歩くこと約7分、滝の流れ落ちる沢沿いにある乳白色の混浴風呂です。
 北西部の滝ノ上温泉は、落差30mの「鳥越の滝」の上にある秘湯です。周囲のあちこちから温泉の硫黄臭と蒸気が噴き出す渓谷で、まさに大地の脈動を感じます。
 「ここは本当に秘境なので、ゆっくりお湯に浸かりたい人にはお勧め。ぼーっと座って景色を見ながら、読書や音楽を楽しんでください」と案内してくれたのは、温泉・宿泊施設「滝観荘」代表の岩岡重樹さん。渓谷が見える大きな窓のロビーには、立派なスピーカーや真空管オーディオなどが置かれています。日常の喧騒から離れて、自然と一体化した気分で湯浴み巡りをお楽しみください。

 ほかにも、雫石よしゃれ祭や雫石裸参りなどの独特な祭りも魅力の雫石町。春夏秋冬、それぞれに魅力満載の町をぜひ訪ねてみてください。

■次回は和歌山県かつらぎ町です。

まちのデータ

人口
1万5037人(10月末現在)
おすすめの特産品
雫石牛、菜の雫(なたね油)、
南部かしわ、小岩井農場製品
アクセス
東京駅から秋田新幹線で約2時間半
問い合わせ
しずくいし観光協会 
019-692-5138(8:30〜17:30)

いつでも元気 2025.1 No.398