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いつでも元気

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まちのちから 岡山県 晴れの国のジーンズと憲法

文・写真 橋爪明日香(フォトライター)

県のシンボル岡山城。黒塗りの外壁が晴天に映える

県のシンボル岡山城。黒塗りの外壁が晴天に映える

 今回の「まちのチカラ」は特別編。
 第16回全日本民医連共同組織活動交流集会
 (9月29~30日)の会場となる、
 岡山県の魅力をお伝えします。
 観光名所はもちろん、
 憲法にゆかりのある場所も紹介します。

 東京から新幹線で3時間20分、岡山駅に到着です。〝晴れの国〟と呼ばれるほど晴天が多い岡山県。温暖な気候に桃やブドウなどの果樹栽培が盛んです。まずは駅周辺の名所を歩きましょう。
 県のシンボル岡山城は、黒塗りの外観から烏城(烏=カラス)とも呼ばれます。2022年に改修した天守では、城の歴史や岡山ゆかりの人物を紹介。大名の駕籠に乗った記念撮影や、重さ1・8㎏の火縄銃を構える体験ができます。
 城からすぐの岡山後楽園は、茨城県の偕楽園、石川県の兼六園と並ぶ日本三名園の一つ。江戸時代初期に岡山藩主の池田綱政が造営した、約14万㎡の広大な日本庭園です。藩主の居間として使われていた延養亭※1や、建物内を水路が走る趣向が珍しい流店など見どころいっぱい。
 国の特別名勝に指定された名園を散策すれば、気分はまるでお殿様?

桃から生まれた岡山カレー

 岡山市で注目のご当地グルメが岡山カレー。白桃とスパイスを煮込んだチャツネ※2が隠し味です。岡山カレーによるまちおこし企画が2020年に始まり、市内40店舗以上で提供しています。
 「店ごとに味も見た目も様々なので、食べ比べするのもおすすめ。県民のソウルフードになってほしいですね」と語るのは、岡山城近くでSALT—石川食堂を営む石川俊輔さん。可能な限り岡山産の食材を用いて、素材本来のおいしさを追求しています。
 石川さんが作る岡山カレーは、季節によって野菜やルーの内容を変化させるのが特徴。スパイシーな辛さの奥に感じるフルーティーなコクと甘みを、ぜひご賞味ください。

白壁のまち、デニムの青

 岡山駅から電車で17分の倉敷駅。徒歩15分のところに倉敷美観地区があります。江戸時代に商業の中心として栄え、いまも当時の町並みが保存されています。
 白壁の蔵屋敷と洋風建築が調和した美観地区の一角に、デニム尽くしのスポットを発見。倉敷デニムストリートです。倉敷市南東部の児島地区が「国産ジーンズ発祥の地」であることにちなみ、デニム専門の複合施設として2014年にオープンしました。
 「ジーンズは使うほどに自分の身体にフィットしていく。自分だけの一着を育てる楽しみがあります」と、倉敷デニムストリート店長の徳住利恵さん。児島産のジーンズはもちろん、多種多様なデニム雑貨や装飾品を取りそろえ、デニムの魅力に包まれる空間を演出しています。デニムをイメージした青色のソフトクリームや肉まんなども販売され、写真映えすること間違いなし!

人間らしく生きるために
 美観地区から東に約7㎞の早島町。丘の上に建つ南岡山医療センター(旧・国立岡山療養所)のふもとに、人間裁判の碑があります。
 1957年、重度の結核で療養所に入院していた朝日茂さんは、当時の低劣な生活保護基準が憲法25条に反するとして厚生大臣を提訴。「人間らしく生きる権利」を正面から主張した朝日訴訟は〝人間裁判〟と呼ばれ、国民的な運動を巻き起こします。闘い半ばで朝日さんは逝去しますが、生活保護基準が大幅に改善されるなどの成果が生まれました。
 命を燃やして「生存権」を日本に根付かせようとした朝日茂さん。ぜひこの碑に足を運んで、熱い思いを受け取ってください。

九条の碑に不戦を誓う

 倉敷市を中心に医療・介護事業を展開する倉敷医療生協。市西南部の玉島協同病院に今年6月、日本国憲法第九条の碑が完成しました。碑は高さ1・38m、幅2m、鳩の丸彫石像が2羽乗ります。
 碑建立のきっかけは、倉敷医療生協と全日本民医連の創立70周年記念事業。地域の組合員と事業所が話し合い、「大口の募金を集めるより、広く多くの人が参加しやすい形にしたい」と、1口500円の賛同金を募りました。ワンコインにしたせいか気軽に参加してくれる人が多く、約390人から目標の150万円が集まりました。
 「岡山大空襲(1945年6月29日)で家を焼かれ、焼夷弾の雨の中を逃げました。絶対に戦争は起こしたらいかん。戦争の恐ろしさを孫に味わわせたくないという、決意みたいなものです」と、碑建立に関わった組合員の大本芳子さんは語ります。玉島地区は、岡山県での原水爆禁止国民平和大行進※3が始まった場所。ここから再び、不戦の誓いを示した九条の輪が広がっていきます。

※1 通常は非公開。5月と10月に特別公開を予定(事前予約優先)
※2 インド料理の調味料。野菜や果物、香辛料を混ぜて煮込んだもの
   県のシンボル岡山城。黒塗りの外壁が晴天に映える
※3 核兵器廃絶を求めて全国をリレーする行進

■次回は秋田県三種町です。

まちのデータ

人口
183万4735人(6月1日現在)
おすすめの特産品
白桃、ブドウ、桃太郎トマト、きびだんご、朝日米
アクセス
東京駅から岡山駅まで新幹線で約3時間10分、羽田空港から岡山桃太郎空港まで飛行機で約1時間15分
観光に関する問い合わせ先
(公社)岡山県観光連盟
086-233-1802

いつでも元気 2024.9 No.394