東京レインボープライド
4月20~21日に東京・代々木公園で開催された東京レインボープライド(TRP)。
アジア最大級のLGBTQ+関連イベントです。
全日本民医連も「SOGIE(性的指向、性自認、性表現)コミュニティ」がブースを初出展しました。
文・八田大輔(編集部)/写真・五味明憲
「変わるまで、あきらめない。」
この言葉の下に集まった人々は2日間で延べ27万人。パレードでは1万5000人が渋谷・原宿を大行進しました。日本初のプライドパレードから今年で30年。近年では国内外の有名企業も多く賛同し、LGBTQ+を取り巻く課題解決への機運が高まっています。
男女二元論と異性愛を前提とした社会で様々なストレスに直面するLGBTQ+当事者は、抑うつや依存症、自死のリスクが高いことが明らかになっています。
しかし、医療者の差別や偏見が原因で受診をためらう人も多く、安心してかかれる医療機関は少ないのが現実です。
民医連では、昨年6月に「SOGIコミュニティ」(現SOGIEコミュニティ)が発足。LGBTQ+に関する学習や企画、当事者が安心・安全に交流できる場の提供などの活動に取り組んでいます。
TRPに初出展したブースに訪れたのは、2日間で約350人。来場者の多くは民医連を知らない人たちです。参加した職員は自らの言葉で民医連を語り、各事業所の取り組みを紹介しました。
「困ったときに誰もが相談できる事業所になってほしい」と語るのは、同コミュニティメンバーで全日本民医連事務局の杉山基樹さん。「準備は大変でした。でも、パレードではためく民医連ののぼりを見て〝やってよかった〟と励まされました」と、笑顔がこぼれます。
Allyの医師を全国に
会場となった代々木公園には300を超えるブースが出展。製薬大手ノバルティス ファーマはLGBTQ+当事者の医療アクセス向上を目的として、「Ally(理解者・支援者)表明医師マップ」を作成。基礎知識や対応事例などの講座を修了して試験に合格した医師を、全国から検索できます。
昨年末にサービスが開始され、5月時点で全国63人の医師が登録。講座や試験の監修には民医連の医師が協力しています。
同社の大山由紀子さんは「当事者が医療機関で不快な経験をしたり、適切な医療が受けられない事例を減らしたい。全国で1万人の登録が目標です」と語ります。
その他にも、障害がある当事者の就労を支援する「ReBit」など、多種多様な取り組みが紹介されました。
民医連の真価を
TRPに初参加した民医連職員の中里美郷さんと丸山由希子さんは「地元(長野県)でもSOGIEコミュニティの活動に取り組んでいきたい」と語りました。医療機関での通称名の使用や「だれでもトイレ」の検討など、全国の民医連で学習と実践が広がっています。
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〝普通〟や〝一般〟という価値観を疑わない〝まとも〟な人々によって、生きづらさを背負わされたLGBTQ+当事者は、日本人の約10人に1人。いまこそ「無差別・平等」を掲げる民医連の真価が発揮される時です。
東京レインボープライド(TRP)とは
性的少数者に対する差別や偏見に反対し、〝性〟と〝生〟の多様性を祝うイベント。象徴的なレインボーフラッグは、アメリカの美術家ギルバート・ベイカーが考案。すべての色を含む虹をモチーフに、LGBTQ+だけでなく「全ての人間の多様性を守る」という思いが込められている
LGBTQ+の用語解説
L
Lesbian
レズビアン
恋愛・性愛の対象が女性である女性
G
Gay
ゲイ
恋愛・性愛の対象が男性である男性
B
Bisexual
バイセクシュアル
女性にも男性にも恋愛・性愛の感情を抱き得る人
T
Transgender
トランスジェンダー
性自認が出生時に指定された性別とは異なる人
Q
Queer or
Questioning
クイア
規範的とされる性のあり方とは異なる生き方をする人
クエスチョニング
セクシュアリティーを探求中、もしくは決め付けたくない人
+
plus
プラス
LGBTQだけではくくれない多様なセクシュアリティー
いつでも元気 2024.7 No.392