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いつでも元気

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まちのチカラ 沖縄健今帰仁村 今帰仁ブルーの海と三線の音色

文・写真 橋爪明日香(フォトライター)

青いグラデーションの海が美しい古宇利島のハートロック

 沖縄本島の北部に位置する今帰仁村。
 世界遺産の今帰仁城跡をはじめ、青く透き通った海や、昔ながらの沖縄らしい景色が魅力です。
 歴史と自然が融合した村を、ゆったりと巡りました。

 那覇空港から車で北上すること約1時間半。「ヤンバル」と呼ばれる沖縄本島北部の今帰仁村に到着しました。村には今帰仁ブルーの海が広がる天然ビーチや、昔ながらの沖縄の風景が随所に残り、ゆったりとした時間が流れています。
 最初に向かったのは、エメラルドグリーンの海に囲まれた古宇利島。周囲約8kmの離島で、村からワルミ大橋、屋我地島、古宇利大橋を経由して陸路でアクセスできます。橋から見える珊瑚礁の海は、うちなーんちゅ(沖縄県民)も絶賛の透明度。車で1周10分ほどの小さな島には、カフェやホテルが続々オープンしています。
 島の北側のティーヌ浜にあるハートロックは、波の浸食でできたハート型の岩で、テレビのコマーシャルで一躍有名に。「こうりじま」の語源は「恋島(くいじま)」だと言われています。沖縄版「アダムとイブ」のような伝承もあり、全国からカップルが訪れるスポットとなっています。

世界遺産 今帰仁城跡

 村の西部には、世界遺産の今帰仁城跡が鎮座しています。14世紀から15世紀初頭に本島北部地域を治めた、北山の王の居城です。標高約100mの岩山の頂上に築かれ、断崖や深い森に守られた難攻不落の要害として、ヤンバルの地を守る要の城でした。
 野面積みという、自然石の形のままで積まれた堅牢な城壁は、高いところで10m。敵を攻撃しやすいように曲線が設けられ、築城技術の高さを物語ります。外郭の石垣は数百メートル蛇行して続き、海と森と融合している様子は圧巻です。
 2000年12月、首里城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、世界遺産(文化遺産)に登録されました。毎年1月中旬から2月初めには寒緋桜が咲き誇り、日本で一番早く咲く桜の名所として親しまれています。
 隣接する今帰仁村歴史文化センターは村の暮らしや沖縄戦の記憶に触れることができる文化施設で、今帰仁城跡から発掘された品々も展示されています。さらに詳しく知りたい方には「今帰仁グスクを学ぶ会」の案内ガイドがおすすめ。広大な城内で潮風を感じながら、往時の権勢をうかがい知ることができます。

純血の在来豚 アグー

 沖縄本島北部の拠点だった今帰仁村には、今帰仁スイカやマンゴーなど、独特の自然風土や歴史文化に裏付けされた多くの名産が生まれています。なかでも希少なブランド黒豚、今帰仁アグーの専門店があると聞き、「長堂屋」を訪ねました。
 「ここでしか味わえない今帰仁アグーをぜひ食べてほしい」と元気に迎えてくれたのは、店長の長堂弘武さんをはじめ、長堂屋の若いスタッフたち。七輪炭火でじっくり焼く焼肉やしゃぶしゃぶが人気の店です。
 今帰仁アグーは肉質に優れ、旨味成分のグルタミン酸など多くのアミノ酸が一般の豚の数倍含まれており、コレステロールが低く女性にも人気。今回はしゃぶしゃぶでいただきました。
 筋繊維が細かくて歯切れが良く、脂の甘みと張りのある肉の調和がとれた上品な味わいです。ツルムラサキやハンダマ、パパイヤなどの身体に優しい島野菜とともに、無添加のこだわり調味料が美味しさを引き立てます。最後はアグーの旨味の出た出汁を雑炊にして、大満足の一品。ぜひ、味わってみてください。

観光客も歓迎 三線教室

 最後に訪れたのは、村の北部の与那嶺集落。三線の音色とにぎやかな声が聞こえる与那嶺直樹三線教室です。
 「車いすのおじぃおばぁでも三線の音色を聞くと踊り出そうとするくらい、沖縄の人は三線が好き。私の人生も三線に助けられてきました」と語るのは、昔ながらの古民家で三線教室を営む与那嶺直樹さん。
 定年退職後、生まれ育った実家を手入れして、2021年に夢だった教室をオープンしました。地元の子ども29人、大人25人が楽しく通い、観光客も気軽に参加できる教室です。
 観光客が体験できるメニューは約1時間で、前半が三線レッスン、後半は指笛を習います。まずは三線の楽譜「工工四(くんくんしー)」の読み方を教わり、指使いへ。一見難しそうですが、竿には目印となるシールが貼ってあり、分かりやすく工夫されています。沖縄言葉も教えてくれて、歌の意味が分かると音色とともに心がほぐれます。
 三線歴40年の与那嶺さんの気さくで楽しい指導のおかげで、初めてでも数十分で「てぃんさぐぬ花(沖縄民謡)」を一曲覚えることができました。沖縄の宝である三線を、自分の手で弾けるようになるとは思いませんでした。旅の良い思い出です。
 フクギ並木が美しい歴史ある街並みや、青いグラデーションのまばゆい海が心を洗ってくれる今帰仁村。ドライブはもちろん、ゆったりと旅を楽しむにはぴったりの場所です。絶景に会いに出かけてみてはいかがでしょうか。

■次回は兵庫県香美町です。

まちのデータ

人口
9283人(1月31日現在)
おすすめの特産品
今帰仁スイカ、マンゴー、今帰仁アグー、パイナップル、モズク、キク、泡盛、ゴーヤー
アクセス
那覇空港から車で約1時間半

いつでも元気 2024.4 No.389