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いつでも元気

いつでも元気

こんな班会開いてみたい

文・編集部 写真・野田雅也

 大阪民医連共同組織交流集会が昨年12月、大阪府堺市で行われ526人が参加しました。
 講師の話を一方的に聞くのではなく、5つの分科会に分かれて参加者が体験しながら学習。
 地域に戻ってから、班会などで実践できるように工夫した集会になりました。

 大阪民医連共同組織交流集会には、大阪府内全ての共同組織(医療福祉生協6、健康友の会5)から参加。午前中はジャーナリストの伊藤千尋さんが「生活に憲法を活かすには」と題して講演、参加者に勇気と感動を与えました。伊藤さんは本誌昨年12月号で「市民力としての9条の碑」の記事も執筆しています。
 続いて「こども班会コペル君」(医療福祉生協おおさか)「出前講座を利用しての支部活動について」(健康友の会みみはら)の指定報告と、ナースアクションや介護ウエーブの訴えがありました。
 午後に始まった分科会は8会場で、健康チェックや体操、カルタ大会、福祉用具体験など5分科会を開催。第5分科会の介護体験学習は、4テーマに分かれて行われました。
 今回の集会の目的について、大阪民医連共同組織委員長の小森佳子さんは「過去の集会は話を聞いて『よかった』で終わる傾向が強かった。今回は集会の“次”につなげることが狙い。分科会を体験した参加者が、地元の班会やサークルで具体的に取り組み始めることを期待したい」と話します。
 第2分科会「実践的な体操と動画による活動紹介」に参加した医療福祉生協おおさか組合員の野上正恵さん(74歳)は「コロナ禍で運動不足になりがちだったので、意識して体操を継続してきました。年の割には元気です」とにっこり。金井たつ子さん(84歳)は「年とともに筋力が落ちることからは逃げられへん。『いつでも元気』を切り抜いて体操をしています」と言います。
 大阪民医連常任理事の庄司修さんは「コロナ禍の影響で、職員と共同組織の関係が弱くなっていた。集会でたくさん交流できたので、今後はともに地域活動を展開していきたい。大勢の職員が主体的にかかわってくれたのが嬉しい」と話していました。

第1分科会 みんなで測ろう健康チェック

 骨密度、足趾力、握力を測定後、尿に含まれる塩分をチェック。塩分チェックは各自が尿をコップに取り、「ウロペーパーソルト」という専用の試験紙に浸して表示の色から尿の中の塩分量が一目で分かる仕組み。続いて保健師の永田三枝子さんが健康チェックの必要性や結果の見方を説明した。
 医療福祉生協おおさかの後みつるさんは「コロナ禍の影響で地域の皆さんの健康意識が高くなっています。自治会などと一緒に健康チェックを実施すれば、仲間増やしにもつながります」と指摘。班会で健康チェックを行う場合、保健師や看護師に依頼することもあるが、地域での健康づくりを進めるためには、より多くの住民が参加できるように共同組織のメンバーが機材の使い方や結果説明をできることが必要だという。

第2分科会 実践的な体操と動画による活動紹介

 「ラダー」を使った健康づくりとともに、誰でも楽しく参加できる新しいスポーツ「カーリンコン」「ボッチャ」「モルック」を紹介。実際に班会で取り組んでいる様子を動画で上映して参加者の興味をそそった。
 後半はいま話題の「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)について。ロコモティブシンドロームとは運動器の障害で介護が必要になりやすい状態のこと。理学療法士の阿部広和さんと三原良友さんの指導で、高さの違う箱からの立ち上がりや、大股で2歩進んだ距離から下半身の状態を診断するテストを実施した。
 西成民主診療所の山本大さんは「カーリンコン、ボッチャ、モルックに関しては、用具が高価なものもあるので、事前にインターネットなどで調べてみてください。いきなり本格的な用具を揃えなくても、高齢者向けに軽いものや小さいサイズもあります」と指摘。
 ロコモティブシンドロームを判定する本格的な機材もあるが、「一般的ないす(高さ40cm)を使っても構いません。まずは体力を測定して、参加者の健康づくりのきっかけにしてほしい」と呼びかけた。

第3分科会 健康カルタと食について

 医療福祉生協おおさかオリジナルの健康カルタを使ってカルタ大会を実施。健康カルタは「コロナ禍でも何かできることを」とヘルスコープおおさか(現・医療福祉生協おおさか)の各支部が絵札と読み札を独自に作成。「よ良い子にアメちゃんほどほどに」「ままず健康生きてるだけで丸もうけ」など大阪ならではの読み札も。「コロナ禍で屋内を使えない時期は屋外にブルーシートを敷き大会を開きました」と振り返るのは、医療福祉生協おおさか組合員の吉田一江さん。「カルタを通して和やかにつながりづくりができれば、との願いで続けてきました」と言う。
 カルタに続いて管理栄養士の杉山美代子さんが、「頑張らないすこしお生活」と題して講演。減塩の大切さやおいしい減塩食を紹介した。医療福祉生協のキャッチフレーズともいえる「すこしお」だが、この言葉を考案したのはコープおおさか病院の黒田岳さん。日本医療福祉生協連に出向している時に考えたそう。
 吉田さんは「単に学習会を開くだけでなく、カルタと組み合わせることで健康に対する関心がわくと思います」とアドバイスした。

第4分科会 お口の健康

 歯科医師の松岡恵未さんの講話「お口の健康から全身の健康へ」に続き、グループに分かれて歯科医師や歯科衛生士に正しい歯磨き方法やお勧めの歯ブラシ、お口の体操などを質問した。大阪民医連の吉岡努さんは「班会を開く際も、歯科スタッフに何でも聞ける質問タイムを設けるといいかもしれません」と指摘。
 続いて「RDテスト」を体験。RDテストは唾液中の虫歯菌の数を調べる検査。各自が唾液をスポイトで取り、専用の検査紙に垂らすと表示の色から菌の数が分かる。吉岡さんは「RDテストは医療福祉生協おおさかが実施しており、友の会でも共有しようと取り組みました。お口の健康をテーマに班会を開きたい場合は、お気軽に民医連の歯科事業所まで問い合わせてください」と話した。

第5分科会 介護体験学習

(1)福祉用具展示・体験
 福祉用具専門相談員の益修一さんが介護保険による福祉用具のレンタル、購入、住宅改修を説明。参加者がベッドから車いすへの移動用リフト、電動車いす、歩行器、手すりなどの福祉用具を体験した。「介護保険でできること、できないことを知ってもらいたい。実際に使用して、自分や家族が利用する際のイメージ作りに役立ててほしい」と益さん。
 班会で福祉用具を体験するには民医連の介護ショップにまず相談を。ショップが近くになければケアマネジャーや民医連職員に問い合わせれば相談に乗ってくれる。

(2)認知症ケア
 認知症ともの忘れの違いや代表的な認知症の種類と特徴、認知症ケアの手法などを説明。介護福祉士の梅谷優司さんは「当事者は誰にも相談できなかったり、恥ずかしいと思ってしまう。認知症を正しく理解してもらい、ネガティブなイメージを少しでも変えていきたい」と話す。
 「認知症について詳しく知りたい、認知症を予防したいと思ったら、まずは民医連の介護事業所に相談を。方法は職員が一緒に考えてくれます」と呼びかけた。

(3)介護体験
 介護技術として体位交換を実演。仰向けで寝ている人を横向きにしたい時は、両膝を曲げ両手を体の前で組んで頭を少し上げてもらうと、少しの力で向きを変えられることを体験してもらった。
 別のコーナーでは高齢者疑似体験セットを装着。白内障や視野狭窄の体験眼鏡、重りをつけたベスト、肘や膝が曲がりにくくなるサポーター、物がつかみにくくなる手袋を使用した。
 介護福祉士の日野暢信さんは「介護技術を学ぶことで、ちょっとしたコツで介護が楽になる体験をしてもらい、不安を解消できたら」と話す。今回使用した器具は社会福祉協議会などで無料でレンタルできる。「班会では介護福祉士が安全に丁寧にレクチャーします」と日野さん。

(4)介護保険制度説明会
 介護保険の利用方法や申請の仕方、ケアマネジャーの役割を解説した後、サービス付き高齢者向け住宅や看護小規模多機能、介護付有料老人ホームなど、各施設の概要を担当者が説明した。ケアマネジャーの竹内智子さんは「地域の班会に出向いて講師を務めることもあります。学びたいテーマなど目的に沿って職員が準備します」と呼びかけた。

いつでも元気 2024.3 No.388