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いつでも元気

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ハーフタイム

増田剛(全日本民医連会長)

苦難あるところに民医連あり

 今年の元日、震度7が能登半島を襲い多くの被害が発生しました。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。
 全日本民医連と石川民医連は、直ちに災害対策本部を設置。輪島市にある民医連の輪島診療所と、災害対策本部のある城北病院(金沢市)を中心に、全国から医師や看護師、薬剤師、事務、心理職が支援に入りました。被災者の健康回復と生活再建のための活動が続いています。
 今年も「3・11」がやって来ます。2011年3月の東日本大震災は、2万2000人を超える死者・行方不明者を出しました。原発事故の影響も含め、いまだに数万人が自宅に帰れません。
 全日本民医連は発災直後から支援を開始し、8カ月間で1万5000人を超える職員が参加しました。発災後の1カ月間で1840人を派遣したことは、新聞にも大きく取り上げられました。この支援者数は日本赤十字社に次ぎ、全国2番目の規模です。
 古くは1959年の伊勢湾台風に始まり、近年では阪神・淡路大震災(1995年)、熊本地震(2016年)など、数多くの災害に職員を派遣。多くの被災者に寄り添い、健康と生活を取り戻すための支援を重ねることで、民医連自身が鍛えられ、自らの理念を発展させてきました。今では全国どこでも災害が起きれば支援をするのが当たり前、という文化が組織内にしっかりと根付いています。
 民医連の源流である戦前の無産者診療所は、苦難に喘ぐ人々の健康と生活の守り手として登場しました。先達たちは喫緊の医療ニーズへの対応のみならず、当時の軍国主義による国民の弾圧に徹底的に抗し、平和と人権のために奮闘しました。この歴史から私たちは、強い確信と大きな勇気を引き継いでいます。
 「人々の苦難あるところに民医連あり」は、職員を突き動かす強烈な行動原理であり、誇りでもあります。そして“苦難”は自然災害に限らず、あらゆる分野に及びます。
 平和主義を壊す大軍拡、構造的な差別、社会保障改悪など、苦難の根源となるものとの“たたかい”も私たちの重要な役割です。
 ロシアやイスラエルによる攻撃をやめさせようと街頭に立つことも、核廃絶運動に参加することも、人権侵害に苦しむ当事者とともに裁判闘争に臨むことも民医連の社会的使命だと考えています。
 こうした民医連の諸活動は、常に共同組織とともにあります。平和と人権を守り、いのちとケアが大切にされる社会の実現をめざして、これからも奮闘しましょう。一昨年5月号から始まった連載は今回で終わります。2年間のご愛読ありがとうございました。

いつでも元気 2024.3 No.388