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いつでも元気

いつでも元気

青の森 緑の海

2023年11月、徳之島にて

 徳之島の森は闇に満たされている。一方、街中は夜もずっと灯りがともっている。早寝早起きの島で人々の姿はないが、真夜中の静まり返った街路に信号機の赤と青が点滅する光景は都会と変わらない。
 電線にハクセキレイの姿があった。海や川などで尾を振りながら歩いている、白と黒の模様の鳥だ。
 近年は都会でもよく見かける。東京都心にもいるので、どこの森からやって来るのか疑問だったが、街中の電線や街路樹で眠っていると知り驚いた。完全に都会暮らしなのである。彼らは大量の虫を食糧とする。それが都会で賄えているということは、都市も自然の一部であるという気づきにつながる。
 ハクセキレイは明治時代以前は北海道の一部だけにいた。それが次第に北海道全土、東北へと広がり、1980年代には九州エリア、そして徳之島のような離島にも生息地を広げている。
 近縁のセグロセキレイやキセキレイは現在も川や海でしか見られないのと比べ、ハクセキレイがここまで全国に広がることができたのは、人間の生息地をも?殖地として利用する戦略をとったからとされる。
 街中で鳥たちが眠るとなると、フン害や鳴き声による騒音など問題ばかりがクローズアップされるが、野鳥の生き方の背景にはいつも人間の影響があることを忘れてはならない。


【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、一貫して沖縄と琉球弧から人と自然の
いのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。写真集の購入はホームページまで。
http://www.shinyaimaizumi.com/

いつでも元気 2024.3 No.388