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いつでも元気

いつでも元気

青の森 緑の海

2023年 11月 徳之島にて

 初めて徳之島を訪れた。環境省の「徳之島世界遺産センター」展示用の映像と写真を撮る仕事だ。
 環境省担当職員の話で印象深かったのが「島の人にまず見てもらいたい」という想いだった。島の人はまだ、あまり自分の島の自然の豊かさに気がついていないのだという。
 西表島、奄美大島、徳之島。島ごとの自然の共通性と違いは興味が尽きない。
 初回のロケは3週間。基本は奄美大島と似ているのだが、スケールの大きな島だという感覚を何度も覚えた。広さではない。なんというか、森の闇が深い。
 面積に対して人口が少ない(約1万人)ことや、島民の高齢化が進み農業従事者も多いため、早寝早起きのリズムになっていることがあげられる。それは泉重千代さんら世界レベルの長寿を生む秘訣のような気もする。人間は自然のリズムに合わせて生きるのが一番いい。
 それにしても生きものの気配の濃い島だ。夜に森を歩いていると、アマミノクロウサギ、オビトカゲモドキ、ケナガネズミ、ハブ、カエル…。ライトの光の中に次から次へと生きものたちが現れる。夜の撮影は難易度が高いが魅力的に撮ってやりたい、そんな情熱にかりたてられる。
 写真は林道で出会ったサワガニ。夜になると現れる。手には木の実を持ち、お腹にいっぱい子どもを抱く。ここにも、つながれていく生命の風景があった。


【今泉真也/写真家】
1970年神奈川生まれ。中学生の時、顔見知りのホームレス男性が同世代の少年に殺害されたことから 「子どもにとっての自然の必要性」について考えるようになる。沖縄国際大学で沖縄戦聞き取り調査などを専攻後、一貫して沖縄と琉球弧から人と自然の
いのちについて撮影を続ける。写真集に『神人の祝う森』『SEDI/ セヂ』など。写真集の購入はホームページまで。
http://www.shinyaimaizumi.com/

いつでも元気 2024.2 No.387