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いつでも元気

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ハーフタイム

増田剛(全日本民医連会長)

そこ、怒るところですよね?

 6月21日、第211回通常国会が閉会しました。〝戦後最悪〟と称した識者もいましたが、本当に酷い内容です。以下、今国会で成立した法律です。
 ①改正マイナンバー法⇒保険証廃止②改正入管難民法⇒人権蹂躪③LGBT理解増進法⇒かえって偏見の助長に繋がる④GX脱炭素電源法⇒原発推進。そして⑤防衛財源確保法⇒異次元の大軍拡など、歴史の進歩に逆行する悪法オンパレードです。
 いのち、人権、平和、民主主義、これは「右」も「左」もなく、政治に携わる人間なら共通して持つべき価値観です。そこがどうも怪しい、というのが最近の政治状況。私の (怒)を紹介します。
 ①医療や介護の現場で大混乱が起きているにもかかわらず、国民の反対を無視して現行保険証の廃止に固執。喜ぶのは誰?
 ②入管に見殺しにされたスリランカ人のウィシュマさんに、あろうことか“詐病”の疑いをかけた政治家。今回の入管法改悪で、「帰国させられたら殺されるかもしれない」と心配する外国人の心情を理解できない非情。同じ人間としてどうなの?
 ③性的少数者の存在が、あたかも「すべての国民の安心」を妨げているかのような修正をねじ込み、「理解増進」どころか、いま以上に差別と分断を持ち込んだ。いったい、誰の入れ知恵?
 ④いまだに何万人も福島の故郷に帰れず、核のゴミの処理方法も見つからないのに原発回帰に執着。有事の際に相手国のミサイルが原発に命中した被害を想像できない愚かさ。本当に焦土と化すよ、分からないの?
 ⑤「米国大統領の説得」を慌てて否定するも、“忖度”で決まった「防衛費5年で43兆円」。これが全ての足枷に。犠牲になるのは暮らしと社会保障。これを“亡国の政治”と呼ぶのでは?

 第二次世界大戦中にフランスでレジスタンスとして闘い、戦後は外交官や国連関係の仕事に従事したステファン・エセルを知っていますか。
 彼の著作『怒れ!憤れ!』は30カ国で翻訳され、世界中で読まれています(日本では版元に在庫なし)。理不尽に目を瞑らないこと、難民保護や報道の自由、福祉の大切さを説き、「ウォール街を占拠せよ」など、世界の非暴力運動に大きな影響を及ぼしました。
 「貧富の格差拡大、人権問題、地球環境など、世の矛盾や不正義は周囲を見回せばいっぱいある。だから、若者よ、怒れ!憤れ!」。
 このエセルの声、日本の若者にも届くはずです。

7月号本欄で紹介した冊子『15歳が受け継ぐ平和のバトン』(高文研)は、版元に在庫はありません。

いつでも元気 2023.9 No.382