青の森 緑の海
沖縄の夏といえば台風。この地方では避けて通れないことで、人々は立ち向かうというよりも、受け流す生き方を身につけてきた。
写真は台風で海に出られない期間に網を修繕している漁師の家族。「仕事はいっぱいあるよ」と手を休めることなく教えてくれた。
30年前、沖縄に移住した頃は風速70m超えの台風が度々やって来た。車はよく横転し、停電も当たり前。外に出るどころかドアを開けることもできない。アルミサッシの隙間をタオルで塞いでも風雨が吹き込み、お手上げだった。近年は大きな台風が上陸しないせいか、台風に対する人々の畏怖が減った気がする。
一方、台風の発生する時期は年々早まっている。今年は4月に1号が、5月末に2号が生まれた。気象庁は地球温暖化が台風に影響を及ぼしていると結論付けることはできないとしている。ただ、海水の蒸発が台風の始まりである以上、高水温は台風を大型化する原因となる。沖縄を通っていないだけで、地球規模では台風の大型化が危惧されている。
昔の沖縄は家屋の屋根を低く構え、石垣で囲っていた。また海から見えるような高い家を建てることはタブーで、海岸防風林の勝手な伐採を禁じる集落もあった。今は観光用のホテルが増え、部屋にいながら海が眺められるように建てられている。
台風の時には無理をしない―。それが島々の伝統だと思う。ホテルからの眺望は美しいが、昔の暮らしは未来についても大切なことを教えてくれている。
今泉真也写真展
「SEDI/セヂ」
(やんばるの森の写真)
日程 9月26日(火)~10月9日(月)
午前10時半から午後6時半
(最終日は午後3時まで。日曜休館)
入場無料/展示数68点/全日程筆者在廊
会場 ニコンプラザ東京
(☎03・3344・0565)
東京都新宿区西新宿1-6-1
新宿エルタワー28階
JR新宿駅西口徒歩3分
いつでも元気 2023.9 No.382