青の森 緑の海
高校まで神奈川で過ごした。学校帰りの田んぼ探検、雪の日にゴルフ場に忍びこんだこと、山奥の川で友達と流されてヤバかったこと。人は幼少期の「冒険」に少なからず影響を受ける。
高校で人生を変える出会いがあった。思えば写真というものに感受性があったのだろう。雑誌の広告に載っていた小さな海中生物の写真を見て、「こんな生物が海の中にはいるんだ!」と感動し、独学で素潜りを始めたのだ。海に潜り始めると、世界が一気に広がった。それはそうだ、地球の3分の2は海である。
三浦半島を中心にいろいろ潜り歩いた。沖縄の白い砂の海岸と違い、黒い砂が海中まで続く。アラメやカジメの海藻の森をクロダイやイシダイ、時にはネコザメがふわーっと泳いで通り過ぎたりした。それはまさに冒険だった。そして、その先に沖縄の海を想うようになった。
三浦半島突端の城ヶ島に遠出した時のこと。崖に見慣れない美しい鳥がとまっていた。興奮して写真を撮ったものの、その時のカメラでは点にしか写らなかった。それが今月の写真のイソヒヨドリ。高校を卒業し沖縄に来てみたら、街中にも普通にいて驚いた記憶がある。
僕にとってこの“青”は、10代の青さを思い出す色だ。「冒険」のほとんどは親に内緒だった。僕の息子も、内緒でこれからいろんなことをするだろう。時に危険な場面にも出会う。僕がそうだったように。だから禁止するのではなく、それを乗り越える力を育てたいと思う。
今泉真也写真展
ヒルギ~極限の森、マングローブ~
日程 8月31日(木)~9月11日(月)
午前10時から午後6時
(最終日は午後3時まで、9月5、6日休館)
入場無料、写真点数:15点
会場 OMシステムプラザ・クリエイティブウォール
(☎03・5909・0190)
東京都新宿区西新宿 1-24-1
エステック情報ビル地下1階
JR新宿駅西口徒歩5分
いつでも元気 2023.7 No.380