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いつでも元気

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長生きは罪ですか

文・新井健治(編集部)

 全日本民医連は3月、「75歳以上の医療費2割化アンケート」と「手遅れ死亡事例調査」の記者会見を厚労省で開いた。
 全国各地の民医連も、3~4月にそれぞれの事例をもとに会見。見えてくるのは受診がますます困難になっている患者の状況だ。

 昨年10月から75歳以上の後期高齢者の約2割が、医療費の自己負担が1割から2割に倍増した。民医連が全国の事業所に呼びかけて行った医療費2割化実施後のアンケートには1万5368人が回答。これほど大規模な調査は他にない。
 調査結果で81%が「負担が重い」と回答。自由回答欄には「年金暮らしの高齢者にとって医療費の負担は大変」「他の支出を削るしかないが、方法が見つからない」「受診を控え手遅れになる可能性も」などの意見が。なかには「年金は減らされ貯金すら底をついて…。長生きすることが悪いかのような」と切実な声もある。
 2割になった人のうち、約14%が「受診をためらうようになった」と回答。11%が「このままでは受診できなくなる」、同じく11%が「受診回数・薬を減らす」と答えた。また、「食費を削る」(13%)、「貯金を切り崩す」(19%)など、生活を切り詰めて医療費を捻出するほか、「これ以上、切り詰められない」との答えも14%あった。
 全日本民医連常駐理事の久保田直生さんは「物価高騰、コロナ禍による経済的な影響に加え2割化が重くのしかかっている」と指摘する。
 後期高齢者のうち、今回2割化になったのは年収で単身世帯200万円以上、複数世帯320万円以上の世帯だ。「これは現役世代ならワーキングプアに当たる年収で、決して家計に余裕があるわけではない」と久保田さん。

手遅れ死亡事例も発表

 全日本民医連は「経済的理由による手遅れ死亡事例調査」の結果も発表。保険料が払えず無保険や資格証明書になった、あるいは窓口で医療費を負担できないなど、経済的な理由で医療機関の受診が遅れて亡くなった患者の調査で、23都道府県から46事例の報告があった。
 亡くなった方のうち、無職は78%と前年の39%から急増。ここにもコロナ禍の影響が考えられる。久保田さんは「調査したのは、あくまで民医連の医療機関を受診できた人だけ。背後には病状が悪化しながら我慢し、受診をあきらめてしまう人が大勢いる。2割化で手遅れ死亡がさらに広がることも懸念される。大軍拡をやめ、いのちを優先する社会に舵を切ってほしい」と訴えた。
 全日本民医連は、医療費2割化の撤回を求める署名を6月5日まで集めている。問い合わせはお近くの民医連事業所へ。

いつでも元気 2023.6 No.379