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いつでも元気

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ハーフタイム

増田剛(全日本民医連会長)

日帰り小山登りいかがでしょう?

 私は高校、大学とラグビー部に所属していました。今もスポーツ全般に興味があり、身体を動かすことが好きです。しかし歳を重ねるにつれ体力の衰えは避けられず、ハードな運動はとてもできません。そんな私のささやかな趣味が「日帰り小山登り」です。
  「日帰り」「小山」と言うと、何だか消極的に聞こえるかもしれませんが、そこがミソです。多忙な人でも可能、1人でも(多数であればなお良い)可能。帰りは麓の温泉につかり、疲れた体に冷たいビール、夜は布団でしっかり眠る。良いこと満載です。
 500mにも満たない低山から2000m超の百名山まで、その気になれば日本全国を回れます。どの山もそれぞれに魅力があり、何と言っても十分に自然を満喫し、“非日常”を実感できること間違いなしです。
 運動不足から足の筋肉が悲鳴を上げ、途中で下山しようかと思うこともあります。でも、ゆっくりとでも登り続ければ、必ず頂上にたどり着くのが「小山登り」の良いところ。運が良ければ格別の風景を楽しむことができます。
 私がこの趣味を持つようになったきっかけは15年前、勤続20年の特別休暇に憧れの屋久島を訪れたことです。生まれて初めて、登山靴とレインウエアを購入して臨みました。
 滞在した3日間は雨が降りっぱなしでしたが、縄文杉や太忠岳(標高1497m)など大自然の魅力に圧倒されました。太鼓岩から見下ろした圧巻の景色は、今でも鮮明に脳裏に焼き付いています。身体的にはとてもきつい道程でしたが、多分、あの感動をまた味わいたくてのめり込んだのだと思います。
 昨年9月、コロナで中断していた趣味を3年ぶりに再開しました。やや背伸びをして、岩手県北西部にある百名山のひとつ、岩手山(2038m)に挑みました。ブランク明けにはハード過ぎて、最後は大腿四頭筋がいうことをきかなくなりましたが、頂上の眺望は最高でした。
 人生、とても辛くてやめてしまいたいと思うことに時折直面します。それを乗り越えると少し違った世界が見えて、次の段階に進むことができたりもします。
 小山登りが人生を生き抜くためにとても有用だなどと、大袈裟に言うつもりはありません。音楽でもスポーツでも何でも打ち込んで諦めずに継続することで、なにか新しい力が宿ることもあると思います。
 「日帰り小山登り」、お薦めです。

いつでも元気 2023.2 No.375