ハーフタイム
増田剛(全日本民医連会長)
年頭に3つの目標
2023年の幕開けです。年頭に3つの目標(希望)を述べてみます。
①戦争に巻き込まれない国づくりを
以前なら「日本が戦争に巻き込まれるなんてあり得ない」と思った人が多いのではないでしょうか? しかしウクライナ問題を利用し、現政権は軍備を増強。南西諸島の静かな島で、軍用車両が走る様子をテレビで観た方もいると思います。
このままだとアジア各国との緊張が高まり、憲法9条を軸に77年間戦争を起こさなかった歴史が台無しです。米国と中国との間で何かの拍子に衝突が起きれば、米軍基地が林立する日本に被害が及ぶことは容易に想像できます。
日本は非軍事の多国間安全保障に軌道修正しなければなりません。軍事力で隣国を脅かすことと、軍縮を進め「こちらからは攻め込まない」と約束し合うこと、どちらが平和に寄与するのか、答えは明らかだと思います。
② ジェンダー平等に向けて前進
「給料が上がる国」へ
日本はジェンダー平等の課題で後進国です。昨年のジェンダーギャップ指数は、世界で116位。この課題で先進的な取り組みを進める北欧の国々は、1人当たりのGDPが既に日本を上回っています。女性の力が社会のさまざまな場面で発揮されてこそ、人権も経済も前進することが世界の常識になりつつあります。
日本ではやっとのこと、男女の賃金格差を公にして、それを是正する方向性が決まりました。これを実現するには、大企業や富裕層の“儲け”を中小企業や女性が多い非正規の労働者に移動する仕組みをつくるしかないのです。低迷する経済再生のためにも「ジェンダー平等」が必要です。
③「社会保障は人権」を再確認
必要な医療・介護を全ての人に届ける仕組みを
自公政権のもと、生存権を保障した憲法25条の理念がないがしろにされて、10年。“自助”が執拗に強要され、多くの国民は自己責任論にさらされ苦しんでいます。コロナ禍で、治療を希望しながら医療に届かず大切ないのちが多数失われました。日本の医療へのアクセスの良さは世界が手本としていましたが、それがもろくも崩れました。
このような状況でも、「社会保障が財政悪化の最大の原因」と言い張り、医療や介護を切り捨てる政権に信義があるとはとても思えません。全ての人の尊厳が守られる、いのちのためにこそお金を使う、そんな社会への共感を、若い世代に拡げていくことが求められていると思うのです。
もうお気づきですね。これらはどれも憲法の理念に関わる課題です。2023年は憲法を守り、その理念の実現に近づく年にしたいものです。是非ご一緒に。
いつでも元気 2023.1 No.374