共同組織活動交流集会in山梨
文・武田力(編集部)
9月11~12日、第15回共同組織活動交流集会が山梨を主会場に行われました。
もともとは2020年開催予定でしたが、コロナ禍で延期に。
第14回(18年・横浜)以来、4年ぶりとなった集会はオンラインで開かれ、全国から約3300人が参加しました。
オープニングは、笛吹高校すいれき太鼓部が迫力の演奏を披露。続いて山梨民医連の青年ジャンボリーが、歴史を知る大先輩の職員と学びながら作った動画「山梨民医連・山梨健康友の会の歴史と現在、そして、ともに未来へ」を上映しました。
山梨健康友の会の望月優会長が開会あいさつ。「風光明媚な当地へみなさんをお招きできないのは残念」としつつ、「コロナ禍という困難な中でも、工夫して地道に広がった取り組みを交流しましょう」と呼びかけました。
共同組織全国連絡会の基調報告に続き、京都大学の近藤尚己教授が「貧困・格差による健康問題と共同組織の役割」と題して記念講演。「地域活動への参加の機会が多いほど健康長寿になる」ことを豊富なデータで示しながら、健康なまちづくりに果たす共同組織の役割を強調しました。
4つの共同組織からの指定報告のあと、現地企画として動画「いのち燃えて~1983年山梨勤医協倒産と再建」を上映。当時の切迫した状況と、再建を果たした人々の熱意あふれる取り組みを振り返りました。
2日目は19の分科会で167演題を発表。コロナ禍の食料支援や見守り活動、身近な地域の班づくりやフレイル予防活動など、全国の取り組みが共有されました。次回は24年に岡山で開催される予定です。
●オープニング
オープニングを飾ったのは、山梨県立笛吹高校(笛吹市)の「すいれき太鼓部」。25人の部員が躍動感あふれる身のこなしで、迫力ある演奏を披露しました。全国高文連総合文化祭に10年連続出場のほか、今年度の関東地区高校和太鼓選手権で金賞を受賞した実力派です。
1997年に山梨園芸高校翠擽太鼓部として創部。「すいれき」は当時の校歌の一節から命名されました。地域のイベントに多数出演するなど、地元でも愛されています。
●記念講演
京都大学の近藤尚己教授が「貧困・格差による健康問題と共同組織の役割」と題して記念講演。近藤さんは山梨民医連で医師研修後、母校の大学院に戻りました。当時の山梨県は「健康長寿日本一」。その背景を探る中で、無尽※の加入率の高さなど、人間関係の濃密なつながりが見えてきました。
その後、全国に対象を広げた追跡調査では、地域活動への参加によって健康長寿の可能性が18%アップすることが明らかに。また地域活動で役員を務める人は、一般のメンバーより死亡率が低いなどのデータを紹介しました。
近藤さんは「健康なまちづくりのためには、こころが華やぐような楽しいつながりの場をたくさんつくることが重要」と強調。「共同組織はまちと社会の資本です。できることを持ち寄って、楽しい汗をかきましょう。それが長生きの秘訣です」と締めくくりました。
●現地企画
現地企画として、動画「いのち燃えて~1983年山梨勤医協倒産と再建」を上映。当時、「日本の医療史上最大」(負債総額226億円、債権者8000人)と報じられた倒産の背景と再建のための努力が、当事者の証言を交えて描かれました。
再建の過程で、協力債を出資していた地域住民と「一緒に再建する」という姿勢が、その後の共同組織や「共同のいとなみ」の理念につながったことを紹介。山梨勤医協は14年間かけて、負債全額の返済を完了しました。
※動画「いのち燃えて」をご覧になりたい方は、お近くの県連または事業所へお問い合わせください
指定報告
・地域に広がる憲法9条・平和を守る取り組み(ふくおか健康友の会中央支部「9条を守る班」)
・小型乗合自動車公共交通事業について(しが健康医療生協湖南・甲賀支部)
・空き家対策から始まった認知症にやさしいまちづくり(岡山ひだまりの里病院)
・3000人対話寄りそい行動に取り組んで(宮城・大崎健康福祉友の会)
※無尽 庶民同士の相互扶助的な融資制度。現在も仲間で集まる習慣が多く残っている
いつでも元気 2022.11 No.372