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いつでも元気

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けんこう教室 
健康診断で分かること

新潟勤医協 下越病院 健康管理課 保健師 二宮 美香

新潟勤医協 下越病院
健康管理課 保健師
二宮 美香

 みなさんは健康診断を受けていますか? 
 健診結果の見方や注意すべき点について新潟・下越病院の二宮美香さんが解説します。

メタボに着目した健診

 コロナ禍も3年目を迎えました。感染予防のための外出自粛で、必要な受診や健診(検診)まで控えている方はいませんか?
 職場や住んでいる自治体(市区町村など)が行っている健診(検診)なら、無料または少額の自己負担で基本的な検査を受けることができます。40歳以上を対象にした特定健診は、メタボリックシンドローム(以下メタボ)に着目した健診です。
 基礎疾患がある方や肥満の方、喫煙者などは、新型コロナ重症化の危険が高いと言われます。きちんと受診して自分の健康状態を把握し、必要があれば生活習慣を見直しましょう。

健診結果の見方

 今回は保健指導で気にすることの多い項目を中心に、健診結果の見方について説明します。
身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)
 体重や腹囲が前回と比べて変化していませんか。急激な増減は要注意です。
 BMIは「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」で求めます。22が適正とされ、25以上は肥満と分類されます。
 腹囲は男性85cm以上、女性90cm以上でメタボの可能性があります。日本肥満学会のガイドラインでは、肥満症の減量目標を現体重の3%以上としており、保健指導の際にこれが1つの目安になります。
血圧(収縮期/拡張期)
 血圧とは、心臓から送り出された血流が血管にかける圧力のことです。心臓の筋肉が収縮した時の血圧を収縮期、心臓の筋肉が最も広がった時の血圧を拡張期と言います。
 収縮期140mmHg以上または拡張期90 mmHg以上で高血圧とされ、受診と生活習慣の改善が必要です。高血圧が続くと動脈硬化が進み、脳卒中や心臓病、慢性腎臓病などのリスクが高まります。保健指導では、家庭での血圧測定とともに、減塩や禁煙もお勧めします。
血液検査
(1) 血糖値
 血糖とは血液中のブドウ糖の濃度のことです。空腹時血糖126mg/dl以上で、糖尿病の診断基準に該当します。110~125mg/dlの方は境界型と呼ばれ、いわゆる糖尿病予備群です。
 HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、ヘモグロビン全体に占める糖化ヘモグロビン(糖が結合したヘモグロビン)の割合です。過去1~2カ月の血糖の状態を表すもので、6・5%以上が糖尿病とされます。
 糖尿病は悪化すると透析や失明、手足の神経障害、足の壊疽で切断が必要となる場合があるなど、注意が必要な病気です。
 保健指導をしていると、「夜はお酒を飲むのでご飯は食べないようにしています」など、気をつけている方が多くいます。1食あたりのご飯の量をはかり、どれくらい食べているか意識するのも良い取り組みです。100kcal減らすのに30分間歩く方もいれば、1食あたり一口分ずつご飯を減らす方もいます。血糖値の急激な上昇を抑えるため、野菜から食べるのもいい方法です。
(2) 脂質検査(中性脂肪・LDLコレステロール・HDLコレステロール)
 中性脂肪は身体を動かすエネルギー源となり、コレステロールはホルモンや胆汁酸の原料となるなど、重要な成分です。
 LDLコレステロールは全身にコレステロールを運び、HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収します。通常は両者がバランスを保って健康を維持していますが、このバランスが崩れると脂質異常症となり、動脈硬化を引き起こす恐れがあります。
 中性脂肪150mg/dl以上、LDLコレステロール140mg/dl以上、HDLコレステロール40 mg/dl未満が要注意です。保健指導では食事内容や適度な運動、禁煙などについてアドバイスします。
(3) 肝機能検査(GOT・GPT・γ―GTP)
 GOTとGPTは肝細胞でつくられる酵素で、γ―GTPは胆管でつくられる酵素です。肝臓に障害が起こって肝細胞が壊れると、これらが血液中に流れ出します。GOTとGPTは30を超えると要注意とされ、γ―GTPは50を超えると要注意です。
 肝機能低下はアルコールの飲み過ぎで起こる場合もありますが、肥満による脂肪肝が原因のこともあります。放っておくと肝硬変や肝臓がんに進行するので、注意が必要です。
 アルコールは1日あたり20g(女性は半量)が適量です。アルコール20gとはビール500mlまたは日本酒1合、ワイングラス2杯分の量です。肝臓も週休2日にして、休肝日を設けましょう。

特定保健指導

 生活習慣病の発症リスクが高い方について、無料で3カ月間、保健師など専門家のサポートを受けられる制度があります(特定保健指導)。対象は40~74歳の方で、健診当日に受ける方法と後日申し込む方法があります。詳しくは、健診を受けた医療機関などにお問い合わせください。

がん検診も忘れずに

 日本人の死因の第1位を占めるがん。胃・大腸・肺・子宮・乳など各種がん検診を組み合わせて、通常より詳細な健診を受けることもお勧めです。
 大腸がん検診(便潜血検査)の結果が陽性でも、「痔があるから…」と2次検査を受けない方がいます。「実は2次検査を受けたら大腸がんが見つかりました」と連絡をいただくこともあります。健診(検診)は受けたら安心というものではありません。検査結果が伝える事実を正しく受け止め、受診などの必要な対応をしてこそ健康づくりに役立ちます。

最後に

 毎年、定期的に同じ医療機関で健診を受けると経年的な変化が分かり、何かあったときに役立つこともあります。身近なところに通いやすく頼れる医療機関をつくりましょう。通院・治療中の方は、主治医に健診結果を必ず報告してください。
 医療機関では新型コロナの感染予防対策を十分に行っています。みなさまのお越しをお待ちしております。

いつでも元気 2022.7 No.368